6大会連続、FIFA ワールドカップ出場決定! 日本チームの強さの秘訣は?

2017年09月10日 15:45

画・ブラジル大統領選挙で何が変わる?

今でこそ、ワールドカップの常連国となったものの、日本のサッカー界がそれまでに歩んだ道は険しかった

 2018年にロシアで開催予定のFIFA ワールドカップに向け、日本代表は8月31日、アジア最終予選のオーストラリア戦に臨み、FW浅野拓磨選手とMF井手口陽介選手がそれぞれに得点を挙げ、2-0の勝利を収めたことで、6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めた。

 今でこそ、ワールドカップの常連国となったものの、日本のサッカー界がそれまでに歩んだ道は険しかった。日本がワールドカップ予選に初めてエントリーしたのは、1954年に開催された第5回スイス大会。そして日本が初めてワールドカップ本選にまで駒を進めることができたのは、1998年の第16回フランス大会。エントリーから実に44年もの歳月を経た、悲願の出場となった。しかも、その前回の15回アメリカ大会の予選では、日本初のプロサッカーリーグ「Jリーグ」の創設の勢いも手伝って、出場にギリギリ手の届くところまでいきながらも、アジア地区予選の最終戦となった対イラク戦でロスタイムに同点にされ、日本の代わりに韓国が逆転で本大会出場となった、いわゆる「ドーハの悲劇」という苦い挫折も味わっている。

 でも、どうして日本はこんなにも強くなれたのだろうか。

 もちろん、選手のたゆまぬ努力と練習の成果、そしてそれを支える監督やコーチをはじめとするスタッフ陣の尽力の賜物であることには間違いない。また、先達がどんどんと世界のリーグにも進出し、日本人のサッカーに対する関心が高まったこと、サッカー少年が増えて技術的な底上げされたことも大きいだろう。さらに忘れてはならないのが、最新のテクノロジーの導入だ。

 例えば、スポーツ用品メーカーのアディダスが販売している「miCoach smartball(マイコーチ スマートボール)」は、内蔵された3軸加速度センサーが、 キックスピード、回転数、回転方向、インパクト位置、飛行軌道 データを取得。専用アプリと連動することで、データはタブレット等にリアルタイムで送信され、自分のキックを可視化することができるスグレモノだ。同社では、キック能力の可視化によって、これまで見えなかった癖や改善ポイントが分かり、より早く上達するとしている。

 また、Jリーグの各チームで活用されている、株式会社データスタジアムが開発した試合解析ソフト「フットボールアナライザー」は、Jリーグのリーグ戦とヤマサキナビスコ杯の全データをもとに、試合の基本データだけでなく、チームや選手のプレー傾向やプレーエリア、時間帯別のボール支配率、選手間のパス交換頻度、パスの方向、長さの傾向、成功率などなど、多角的に分析し、選手やチームの強化、弱点の克服、戦術、戦略の立案などに役立てられているという。

 近年、サッカーに限らず、スポーツ界全般において、こういった繊細なデータの収集と活用が盛んになっている。高度なセンサ技術を駆使して、選手の特徴や長所、弱点などをデータ化して分析したり、最新のシステムや設備を利用して、効果の高い練習プログラムを組み、選手の健康管理やコンディションの調整などを行うことも当たり前になっている。

 先日も、富士通が日本ウインドサーフィン協会と共同で、日本のウインドサーフィンの技術力向上を目的に、ロームのグループ会社であるラピスセミコンダクタが開発したセンサノード「WindHack」「WindHack Pro」による実証実験を開始して話題になっていた。帆の展開状況や乗り手の位置、姿勢を可視化することが出来るセンサノードで、これまで困難だったセーリング技術の継承や向上が期待されるという。今後益々、そういったエレクトロニクスがスポーツをデジタル化して進歩向上させるようなケースが増えてくるのではないだろうか。

 これからのスポーツ界は、個々の技術や努力だけではなく、国単位の巨大なチームプレイでの技術力も試されるのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)