学校法人加計学園(岡山市)の獣医学部新設を巡る「総理の御意向」などの文書をはじめとして疑惑が払拭されないままになっているが、最大の疑問は閣議決定されている2015年の新設認可条件を加計学園がクリアする内容になっているかどうかの説明が政府側から明示されていないことだ。この部分を明確にしない限り国民は「時の政府に、行政が歪められた」と不信感を持ち続けるだろう。今月下旬から始まる臨時国会では4つの条件の1つ1つをクリアしていることの説明が求められる。
4条件が閣議決定された当時、担当大臣だった石破茂衆院議員は「獣医学部・学科の新設は52年間行われてこなかった。それにはそれなりの理由があったのでしょうが、既得権を守る岩盤規制であるとの批判もあった」としたうえで、だからこそ、新設については、国民が納得できる条件と条件クリアの提示が必要なのだとの旨をブログなどで提起してきた。
石破氏は(1)(感染症や生物化学兵器に対する対策など)従来にはない新たなニーズが生じている(2)新設を希望する法人にはこれらに対応するに足る教育内容と教授陣・教育施設が用意されている(3)全国に16校ある既存の国公立・私立の獣医学部・学科ではこれらに対応できない(4)獣医の需要と供給に配慮し(ペットの獣医は充足されているのに対し産業用動物の獣医は著しく不足しているが、これは産業用動物の獣医の処遇が低いことが原因と思われる、一部の地域のみが利益を受けるのではなく)全国的見地から必要と認められるという「4つの条件をクリアすれば、大学設置審議会においても開学が認可されるべきものでしょう(ただ大学設置に関してはそれ以外の一般的な条件もあります)逆もまた然り」と明確にすべき点を指摘している。これこそ「丁寧に、分かりやすく説明」すべき点なのだろう。(編集担当:森高龍二)