安倍晋三総理は自ら議長を務める国家戦略特別区域諮問会議の5日の会合で「岩盤規制改革を、スピード感を持って進めていく。これは安倍内閣の揺るぎない方針」と強調した。
そのうえで、安倍総理は「国家戦略特区はその強力な突破口で、特区に係る決定は民間議員の皆さんが一点の曇りもないとおっしゃっておられるとおり、いずれもオープンで適切なプロセスを経たもの」と、決定プロセスに一点の曇りもなく、適切なプロセスを経ているものだと改めて強調した。
しかし、学校法人加計学園の獣医学部新設を巡っては、加計学園の幹部らが2015年6月5日の国家戦略特区諮問会議WG会合に参加し、発言していたにもかかわらず、愛媛県今治市の補足説明者として参加したもので、補足説明者の発言は公式発言ではないなどとして、発言のみでなく、参加した事実も記録に残さないなど、国民目線では、およそ透明性が確保され,オープンだったと理解できない状況だ。
安倍総理は「今般、第三者が加わらない省庁間の直接調整をめぐって、当事者間で『言った』『言わない』の水掛け論に陥り、国民的な疑念を招く結果となった」と疑念を招いていることは否定せず「特区諮問会議などオープンな場をもっと活用し、規制を担当する省庁と梶山弘志地方創生担当大臣、民間議員の方々が正面から議論を行うなど、民間議員の皆様には運用強化の方策を更に具体化していただきたい」と要請した。
国家戦略特区の透明性確保に対しては民間議員5人が連名で(1)特区諮問会議には規制担当大臣が出席。必要なときは大臣間で意見をたたかわせることを含め、実質的な折衝の場として、特区諮問会議をさらに活用すべき(2)特区諮問会議や特区WGなど以外で、省庁間でなされる協議は、必要に応じ、両当事者の合意するミニュッツ(交渉過程に係る合意議事録)を作成する。合意されていないものが政策に影響を与えることのないようにすべき(3)特区WGなどでの議事公開については、ルールを明文化すべきとの提案が出され、安倍総理は会議で「提案いただいたものをベースに、民間議員の皆様には運用強化の方策を更に具体化していただきたい」と語った。
先の加計学園関係者の参加、発言が全く反映されなかったWGの議事問題を踏まえれば、いわゆる「補助説明者」なる人の発言も記録に残し、公開するなど、公平な判断が行われていることの検証に耐えうるものにしなければならない。(編集担当:森高龍二)