「2次産業で働く人が多いエリアほと゛出生率が高くなる」出生率に関する驚きのデータとは

2017年10月09日 11:21

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東京都の出生率は1970年代以降、常に最下位となっている。日本全体の出生率を引き下げる最大要因として懸念されており、カップリング・妊娠・出産・育児に前向きになれる社会環境作りは全国レベルの緊急課題といえる。

 日本の人口は総務省の「平成27年国勢調査人口等基本集計結果」によれば1億2709万4745人(2015年10月1日現在)であり、うち東京都の人口は1351万5271人で10.6%を占めている。日本には47都道府県があるものの、実に人口の10人に1人が東京都の人となっている。では、その人口過密エリア東京都の出生率はどのような数値になっているか。東京都の出生率は1970年代以降、常に最下位となっており、日本全体の出生率を引き下げる最大要因として懸念されている。

 少子化問題の改善に向け、ニッセイ基礎研究所の天野研究員は「大都市・東京都の出生率支配要因とは」を発表、東京都における“出生率と関係がある”とされるデータを挙げ、社会環境と出生率の関係性について研究している。まず、出生率に正の影響を及ぼす「自然・生物学・世帯」の項目からみてみると、「核家族化している」「婚姻発生に比べて、離婚発生割合が高い」「10代が産んでいる」「家が広い」「持ち家が持てる」などが出生率の高いエリアとなった。これについては様々な見方が可能だが、ニッセイ基礎研究所では“ネガティブな伝統的価値観を一旦横において考えるならば、すべて「カップルの自由自在な形成力向上」を促している傾向ともみてとれる”との見解を示している。

 次に出生率と正の関係に位置する「経済・財政」の観点からみてみると、「育った地元で働いている人が多い」「2次産業(東京都であるので、主に製造業)で働く人が多い」「公的借金割合が高い」エリアほど出生率が高くなる結果となった。東京のように全国から若者が流入し、働く人々が多いエリアほど出生率は低くなっている。一般的に華やかなイメージのある3次産業と比べて、2次産業の従事者が多いエリアの出生率が高い点はひとつ注目される点であろう。これらと対照的なデータとして、「3次産業で働く人が多い」エリアほど出生率が下がるという結果もわかった。出生率が低いエリアは他にもあり、「お金持ちが多い」エリアなどがそれにあたる。当然裕福であることだけが子どもを産まない理由だと断定はできないが、少子化問題を考察するうえでひとつのてがかりとなり得る情報といえる。

 本記事に挙げたデータはいずれも東京都におけるデータであり、あくまでも「東京都ではそういう傾向である」というものである。東京都の人口過密化により日本全体が少子化へ向かっているなか、地方の過疎化は、遠く離れた東京の少子化問題に与える影響は大きい。今後の地方創生などの取り組みの成果に期待したい。20代の女性と、「そのパートナー」の双方が、あまりハードルを感じることなくカップリング・妊娠・出産・育児に前向きになれる社会環境作りが全国レベルの緊急課題といえる、と天野研究員は警鐘をならす。(編集担当:久保田雄城)