安倍晋三首相が掲げる幼児教育・保育の無償化には最大約1兆1700億円が必要という政府の試算が出されている。衆院選で消費税率を10%への引き上げることで得られる増収分の用途を変更し教育無償化に2兆円規模で充てる方針だ。
消費税が増税となり幼児教育が無償化されることで一般家庭にはどのような影響があるのか考えてみよう。安倍首相は2020年度までに3歳から5歳の子供の幼稚園、保育園の費用を全て無償化して、0歳から2歳児に対しても所得の低い家庭においては全面的に無償化することが検討されているので、小さい子供がいる家庭は恩恵に預かることができるが、それ以外の家庭は負担が増えるだけというイメージもあるだろう。消費税が2%上がることで、月3000円程の税の負担が増えると予測される。
年収400万円の単身家計でシミュレーションをすると年間で3万7920円負担が増えると言われている。それに対して年収400万円の夫婦、幼児1人がいる家計でシミュレーションをすると年間で8万4960円の負担が減ると考えられる。文部科学省が子供の学習費調査を行った結果、公立幼稚園の場合は費用が月1万円程かかり、無償化された場合はこの費用分が子育て世帯の家計の負担から浮くことになるので、消費税増税分の3000円を差し引いても月額で7080円、年間8万4960円の経済的な負担が減るということだ。
同じく年収500万円と年収600万円の家庭での負担をシミュレーションした結果、年収500万円の単身家計では年間4万3920円負担が増えるが、子供がいる夫婦の場合は年間で8万2560円の負担が減ると考えられる。年収600万円の単身家計だと年間5万1120円の負担が増え、子供がいる夫婦だと年間7万3680円もの負担が軽減される。また年収600万円の家計で2人の子供がいる場合は、年間19万3680円ものの負担が軽減されるといいシミュレーション結果が出ている。
5歳までの幼児がいる家庭では大きく負担が軽減されるが、単身者や子供がいない、あるいは5歳以上に成長した子供がいる家庭では負担増となる。少子高齢化に歯止めをかけるという点では効果が期待できる政策と言えるが、一方で増税も避けられない。今度の総選挙の争点の1つとなるだろう。(編集担当:久保田雄城)