原発30キロ圏内自治体に新たな補助金制度?

2017年10月14日 08:09

 朝日新聞が13日「原発立地自治体に限って支払われてきた国の補助金が、2017年度から原発から半径30キロ圏内の周辺自治体にも支払われる仕組みに変更されていた」と報じた。原発再稼働を推進する安倍政権の同意や協力への『飴』政策制度利用にならないか注視する必要がある。

 朝日新聞は「要領は同庁ホームページで閲覧できるが、同庁は変更したことを報道発表していない。新たに対象になった自治体向けに説明会を開くなどして、拡大を知らせたという」と報じた。

 弊社で調べたところ、報道通り、補助金は廃炉により影響を受ける自治体へ「エネルギー構造の高度化等を図る事業及び民間団体等が行う、再生可能エネルギー・省エネルギーに関する技術開発に要する経費に対し、補助することでエネルギー構造高度化等への理解促進に役立てる」旨が記されていた。廃炉が決まったり、再生可能エネルギー関連事業に取り組む際に自治体の事業を支援することを目的にしている。

 不思議なのは、原発から半径30キロ圏内の自治体とその自治体のある都道府県を対象にしていること。原発再稼働で必要な「地元同意」での地元同意については、原発施設の立地する自治体とその道や県のみでなく、『原発から30キロ圏内のすべての自治体の同意を得るのが当然だ』との正論がある中で、今回の補助制度は、その30キロ圏内すべての自治体に、申請すれば補助金が出る仕組み作りがとられた格好になっていること。

 原発再稼働に同意を得るための制度に悪用されることはないのか。朝日新聞は「九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の30キロ圏内にある福岡県糸島市は再稼働への態度を留保してきたが、4月に容認に転じた。容認の表明は補助金交付決定の3日後だった」と報じている。補助金という名の「飴」政策で、原発再稼働への同意や反対の声封じ込めに利用されることがないよう注視する必要がありそう。(編集担当:森高龍二)