黒田日銀総裁「景気は緩やかに拡大、金融システムは安定」~支店長会議で

2017年10月23日 05:46

画・黒田日銀総裁「景気は緩やかに拡大、金融システムは安定」~支店長会議て_

日銀の黒田総裁は10日、支店長会議で「景気の現状は緩やかに拡大している」、さらに「日本の金融システムは安定性を維持していると」述べた。

 日本銀行の黒田総裁は10日、日銀本店で開催された支店長会議の挨拶の中で、景気の現状に触れ「穏やかに拡大している」との認識を示した。また、日本の金融については「システムの安定性を維持している」との見方を明らかにした。

 また、マクロ経済動向については「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」と現状の認識を示し、先行きについても「緩やかな拡大を続けると考えられる」という期待を示した。

 目標とされている消費者物価上昇2%に関連して、現在、消費者物価指数の伸び率は8月時点で前年比0.7%と0%台後半を推移しているが、先行きについては「マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な期待物価上昇率の高まりなどを背景として、プラス幅の拡大基調を維持し、目標の2%に向かって上昇率を高めて行くと考えられる」という認識を示した。さらに、日本の金融環境については「極めて緩和されている状態にある」とし、「日本の金融システムは安定性を維持している」との認識を示した。

 現在、量的緩和とともにマイナス金利政策を採っているが、これが市中銀行の収益を圧迫するとともに、異次元の量的緩和によってイールドカーブ(資産残存期間の利回り)をフラットなものにしてしまっている。これに対してもイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を行いながら「量的・質的緩和を必要な時点まで継続し、モメンタム(物価上昇の勢い)を維持するために必要な政策調整を行う方針を明らかにした。

 高い求人倍率などに典型的に示されているようにマクロ的な計算では日本のマクロ経済の需給ギャップは供給過剰の状態を既に克服している。市中銀行の当座預金にブタ積みされていると言われていたマネーもこのところの活発な設備投資を背景に市中銀行の貸出額の増加と言った形で動き始めている。賃金上昇の動きも出始め、消費にも明るい兆しが見られ、人件費コスト・プッシュによる物価上昇圧力が出現する可能性もでてきた。海外では既に金融緩和からの出口戦略への動きが見られる中で、日本銀行は今後どのように政策運営を行って盤石な持続的成長に結びつけていくのか注目される。(編集担当:久保田雄城)