ホンダは、ライダーがバランスを保たなくても自立する二輪車「Honda Riding Assist-e」を、「第45回東京モーターショー2017」に出展して注目を浴びている。2017年1月に、米ラスベガスで開催された「CES 2017」で披露したモデルを改良し、よりコンパクトな車体に仕上げたコンセプトモデルだ。
この「Honda Riding Assist-e」は、ホンダがASIMOなどのヒューマノイドロボット研究で培った、ホンダ独自のバランス制御技術を二輪車に応用した実験車。渋滞や信号での発進・停止時など、極低速走行時のバランスに気をつかう場面で、ロボティクス技術を活用したアシスト機構によりマシンのバランスを制御するという。マシン自体がバランスを保つことで、ライディングの楽しさを損なうことなく、ツーリングやモーターサイクルのある日常を、より気軽で楽しいものにする、近未来のモーターサイクルといえる。
パワートレインには、電動モーターを採用。ホンダが掲げる2030年ビジョンの「自由で楽しい移動の喜び」「カーボンフリー社会の実現」を具現化する、モーターサイクルの新たな楽しさの提案でもある。
10月25日に開催されたプレスカンファレンスでは、ホンダの八郷隆弘・代表取締役社長が、別の車を発表している間に低速で静かにステージに入場。ライダーが手放しの状態で自立し、ターンテーブル上でも姿勢を保つというパフォーマンスを密かに披露した。また、ライダーが降りても、バイクはそのまま自立。自動でハンドルが細かく動かし、自らバランスを制御していた。このアシスト技術によって「低速走行時や停止時の転倒リスクを低減」する。
このシステムが実車に搭載されたら、近年問題が顕在化している中年以上の“リターンライダー”による自損事故低減に繋がりそうだ。(編集担当:吉田恒)