航続距離29km、14円で走れる新型EVバイク

2015年08月01日 20:19

航続距離29km、14円で走れる新型EVバイク

ボディカラーは、ビビッドイエローイッシュレッドメタリックとホワイトメタリックの2色用意。本体価格21万9000円

 ヤマハ発動機<7272>から、8月20日に発売されるエレクトリックコミューター第4弾にあたる「E-Vino」(原付一種)の発表試乗会が都内で行われた。

 電動バイクの研究開発で25年、市販車展開では第1弾の「Passol」から14年の歴史があるが、E-Vinoはガソリンエンジンを使用したスクーターVinoをベースとした、電動スクーターとなる。

 ヤマハでは5km以内なら電動アシスト自転車のPASを使い、30kmを超える距離ならエンジンバイク(原付二種以上)と棲み分けしており、E-Vinoはその間に位置するパーソナルビークルとなる。都市部に住む片道5km以内を移動する女性層をターゲットにして開発。そのため航続距離は29kmとなり、車両重量68kgとVinoよりも12kgも軽く、女性だけでなくビギナーやシニアにも扱いやすい。

 動力源は3相ブラシレスDCモーターで、ロスの少ないギア駆動方式としスムーズな走り出しを可能にしている。走行モードは通常モードとパワーモードがあり、新たな機能としてBOOST機能を搭載。右ハンドルのスイッチを押すと30秒間だけパワフルになり、急な登坂道を登る際に活躍してくれる。実際に走ってみたが、スロットルを回すと滑らかな走り出しで、BOOSTスイッチを押すとしっかりとした力強さを感じた。電動バイクだけに音がほとんどしなかったことにいまさらながら驚く。

 着脱式の小型バッテリーの重量は6kgで、充電時間は従来の半分の3時間となる。気になるランニングコストだが、1回の充電で約14円とガソリンエンジンに比べると経済的で、メンテナンスも格段に楽になっている。電動バイクのメリットはクリーンで電気代が安く、振動やノイズ、発熱部がなく安心快適で取り扱いも楽というのがある。課題としてはバッテリーの性能、航続距離、価格。それに充電時間、インフラなどがある。その中でも気になるのはバッテリー切れだろう、ヤマハのSPV事業部第2開発部の藤田博一氏に聞いてみた。

 「片道5km圏内の利用を想定していますが、バッテリー切れのリスクを少しでも減らすために、バッテリー残量を10段階にし、さらにパーセントでも表示しています。充電器を搭載して外出先で充電するというのは考えてないので、どうしても不安でしたら予備のバッテリーを購入していただき、シート下に収納することもできます」

 リチウムイオンのバッテリーは使用状況にでもよってだが約500回の充電で、電池の容量が3割ほど減少するとのこと。お財布に余裕があれば、予備のバッテリーを搭載し、交互に使用するといった使い方もありだろう。

 このE-Vinoはこの平成26年度クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(補正分)の対象となり、補助金を利用して購入すれば最大2万円本体価格から引かれ、ガソリンエンジンのVinoとの価格差はわずか1万円になる。

 たとえ価格が高くなっても、東京モーターショー2013で公開した「PES1」のような、趣味として乗れるスポーツタイプのEVバイクを期待している人は少なくないはずだ。(編集担当:鈴木博之)