就職志望者のうち、就職内定率は92.1%となり10月1日時点で過去最高となった。売り手市場で学生側に僅かながらのイニシアチブが生まれているなか、採用の見通しがなかなか立たないなど企業側の喫緊の問題も発生している。
リクルートキャリアが運営する研究機関・就職みらい研究所は、就職みらい研究所学生調査モニターに登録している学生5,960人(内訳:大学生4,876人/大学院生1,084人)を対象に「就職プロセス調査」を実施した。実際の母集団の構成比に近づけるよう、性別、専攻、所属大学の設置主体をもとに文部科学省「学校基本調査」の数値を参照し、ウェイトバック集計を行った。(調査報告書は大学生(大学院生を除く)のみを集計)
本調査によると、10月1日時点での就職志望者のうち、就職内定率は92.1%となり、9月1日時点の88.4%と比べて3.7ポイント高かった。また、前年同月の90.6%と比べても1.5ポイント高く、同時期では過去最高となった。本調査における数値については、登録モニターである学生のみを対象としている点に一定の留意が必要であるが、文科省と厚労省が共同で行った2018年3月大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)でも、大学生の就職内定率は75.2%(前年同期比4.0ポイント増)、1997年3月卒の調査開始以降、同時期での過去最高となっている。調査対象による数値に多少の差こそあれ、就職内定率(就職内定取得人数 ÷ 就職志望人数)は上昇するなか就職活動実施率(就職活動実施人数 ÷ 就職志望人数)は減少傾向となり、全体の傾向として売り手市場活況の状況が数値においても確認できた。
次に、就職内定辞退率(就職内定辞退人数 ÷ 就職内定取得人数)についてみてみると、まず、内定取得社数の状況については、2018年卒大学生の内定取得社数の平均値が、4月1日時点を皮切りに徐々に増加、10月1日時点で2.50社(昨年2.33社)であった。複数社の内定を取得している割合は10月1日時点で65.1%、6月15日時点以降6割を超え、就職先を複数社から選択出来る学生が多くいる状況にあるようだ。9月1日時点で減少に転じた昨年と比べると、10月1日時点では3.4%高い数値となった。10月1日時点での内定取得者のうち、大学生の就職内定辞退率は64.6%となっており、就職活動を行う学生側に僅かながらのイニシアチブが生まれているようだ。
学生による企業選択の幅が広がる一方で、中小企業や一部の企業などにおいて採用の見通しがなかなか立たないなど喫緊の問題も発生している。就職内定率が過去最高を更新し、売り手市場を反映するなか、企業における採用活動の厳しさはその過酷さを増しており、人事担当者は今後一層頭を抱える事になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)