立憲民主党の長妻昭代表代行は27日の衆院予算委員会で、自民党がまとめた24年の憲法改正草案を白紙撤回するよう安倍晋三総理(自民党総裁)に求めた。安倍総理は、総理としてここにいるので自民党の憲法改正草案に答える場ではないとしながらも「国会の憲法審査会に提出しているものではないので、撤回の対象にならない」と答えた。
安倍総理は「24年の自民党憲法改正草案は、その後、4回の国政選挙を経て議員の構成も大きく変わり、当該草案に対し、内外から多くの意見を頂いてきたことを踏まえ、そのまま国会の憲法審査会に提出するものではないと位置付けられている」と説明。
そのうえで「さきの総選挙で公約に掲げた(1)自衛隊の明記(2)教育の無償化・充実強化(3)緊急事態対応(4)参議院の合区解消について党内で検討中だ」とし「(憲法改正草案を)国会に提出しているわけではないので、撤回の対象にならない」とした。
長妻議員は、自民党の憲法改正草案について「改正草案は憲法97条(基本的人権の尊重・最高法規)を全文削除していたり、憲法11条(基本的人権)について、将来の国民に与えられると現行憲法に書いてあるが、将来の国民を削除したり、公共の福祉を公益及び公の秩序に変えたりと、こんな規定に憲法が改正されれば大変なことになる」と指摘。「警鐘はこれからも鳴らしていきたい」と不可侵の基本的人権を危うくする改正になりかねないとけん制した。
憲法97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と規定している。
また、憲法尊重擁護義務について、現行憲法は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」と規定しているが、自民党草案では天皇を除外した。そのうえで「全て国民はこの憲法を尊重しなければならない」と国民に尊重することを規定し「国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」としている。自民党は天皇を「元首」に規定することを草案に入れており、憲法擁護義務の立場から外す狙いが見える。(編集担当:森高龍二)