政府が生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てる生活扶助を来年10月から3年間で国費約160億円削減することを決めたことに、憂慮や怒りの声が相次いでいる。減額幅は最大5%になる。
食費や光熱費の引き下げは健康で文化的な生活を営む権利に観点からも疑問視する声は少なくない。もともとつつましい暮らしをしている生活保護受給者にとって、削減分をさらに食費から削るのは健康上も精神面でも深刻なはず。日本共産党の志位和夫委員長は「生活保護を一般貧困世帯に合わせて引き下げる。これほど矛盾に満ちた政策はない」と非難した。
志位委員長は「合わせるというなら一般貧困世帯を支援すべきだ」と意見を述べる。レベルは下げるのではなく、暮らしのレベルは上げる政策こそが必要だ。
今回の政府の方針に志位委員長は「首相は『安倍政権で貧困は改善した』と自慢していたが、一般貧困世帯に合わせて引き下げるというのは、貧困の深刻化=政策破綻を自ら認めるものではないか」と提起している。
また「もともと生活保護水準と一般貧困世帯の均衡をはかるというのは、一般貧困世帯の貧困が改善することを前提にし、生活保護水準を連動して引き上げるための制度だった」と述べ「貧困が深刻化する下では、この制度は貧困のスパイラルをもたらすだけで、使えない。制度の抜本的見直しが必要だ」と見直しを求めた。安倍政権には社会的弱者への視点が欠けているようだ。(編集担当:森高龍二)