日産、脳波測定による運転支援技術「B2V」発表、「CES 2018」に出展

2018年01月06日 09:43

Nissan Brain-to-Vehicle technology redefines future of driving

日産が新年早々に発表した画期的な脳波測定による自動車運転支援技術「Brain-to-Vehicle/B2V」に用いるヘッドセット

 日産自動車は1月3日、画期的な自動車運転支援技術の概要を発表した。発表の要旨は、ドライバーの脳波の動きを感知し、先回りして運転を手助けする技術について研究を進めているという内容だ。

 注目すべきことは、ドライバーの脳波を測定し、運転を支援する先駆的な研究だということ。この日産の脳波測定による運転支援技術(Brain-to-Vehicle/B2V)は、ドライバーの反応時間を早め、ドライビングをよりエキサイティングなものにし、ドライバーとクルマの関係を再定義するとしている。

 今後、拡張現実(AR)を活用することでドライバーの視線の先にある車内環境を調整し、よりリラックスできる環境をつくり出すことも可能になることを示唆している。

 日産によれば「この新しい技術は、人とクルマのコミュニケーション、社会とクルマとの関わり方を変えていくことを目指す“ニッサン インテリジェント モビリティ”の最新の成果」だという。

 また、「将来の自動運転社会では、人間はクルマをコントロールしないと考える人が多いかもしれない。しかしながら、この技術はその反対の目標を志向する。ドライバーの脳波を活用して、ドライビングをさらにエキサイティングで楽しいものにしていく」技術だというのだ。

 日産の「B2V」は、脳波測定技術を適用する研究のひとつ成果で、ドライバーが行なう次の運転操作のタイミングやドライバーが持つ違和感を把握する。

 例えると、ドライバーがステアリングを回す、アクセルペダルを踏むなどの操作をする直前に、脳の行動準備電位を検出し、ドライバーが操作を開始する前からシステムが操作を開始することで、ドライバーの反応の遅れをカバーし、ドライバーが思い通りの運転をできるようサポートするという。

 つまり、「B2V」によって自動運転時に、脳波からドライバーの違和感を検出し、ドライバーが違和感を持たない自然な制御の自動運転にカスタマイズすることを可能にするのだ。

 日産の「B2V」技術は、世界で初めて、ステアリング操作などの運転操作に関連する行動準備電位のリアルタイム検出、また、ドライバーが思い描いた運転と、実際に行われている運転が違うと感じるときのエラー関連電位(Error Related Potential)を計測可能としました。

 また、本技術は、ドライバーがヘッドセットを着用することで計測された脳波をシステムが解析・判断し、自動運転に適用する。また、マニュアル運転時には、脳波によってドライバーの意思を把握すると、ドライバーが操作を開始する0.2~0.5秒前にクルマが運転操作を開始。これにより、ドライバーはシステムのサポートを意識することなく、スムーズに走行することができるようになる。

 なお、日産は本技術を米国ラスベガスで1月9日から開催される世界最大のテクノロジー・トレードショー「CES 2018」に出展し、ドライビング・シュミレーターを用いてB2V技術のデモンストレーションを行なう。

 世界の自動車各社は、自動運転技術の確立で激しい競争を繰りひろげている。日産はすでに、高速道路の同一車線で車間距離を把握して停車や前進を促す自動運転を実現。20年までには一般道での自動運転技術を投入する予定する。一方、トヨタも20年の高速道路向け自動運転システムの実用化を目指している。自動車業界以外でも、米グーグル親会社のアルファベット傘下の「Waymo(ウェイモ)」や米アップルコンピュータなども自動運転の研究・開発に取り組むなど競争は激化している。(編集担当:吉田恒)