安倍晋三総理は22日召集の196回通常国会(会期6月20日まで)で、施政方針演説を行い「働き方改革を断行する」と述べた。
安倍総理は「戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革」を強調。「長年議論だけが繰り返されてきた『同一労働同一賃金』。いよいよ実現の時が来た。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し『非正規』という言葉をこの国から一掃していく」と述べた。
また「所得税の基礎控除を拡大する一方、サラリーマンなど特定のライフスタイルに限定した控除制度を見直すことで、働き方に左右されない税制へと改革する」とした。
さらに安倍総理は「我が国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破る」とし「史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設ける」と長時間労働をなくすための政策推進をあげた。
一方で、残業代ゼロの制度だと野党が強く問題提起する「高度プロフェッショナル制度の創設」については「専門性の高い仕事では、時間によらず、成果で評価する制度を選択できるようにする」と創設に意欲を見せた。
政府の考えでは年収1075万円を超える人を対象にしているが、制度創設後に適用年収が引き下げられる可能性は否定できない。小さく生んで大きく育てるとの発言もあり、経団連が当初、制度創設の対象年収者を年収400万円以上の社員などと広く適用できるよう求めていた経緯がある。
低い年収者まで適用範囲が拡大される危険や懸念の声は強い。「残業代ゼロ法案」とも呼ばれるこの制度の創設の必要の有無や制度適用対象者について、年収1075万円以下には引き下げができない担保を行うことが最低、必要だろう。労働法制には行方を注視する必要がある。(編集担当:森高龍二)