医師にも「働き方改革」、職種に応じた取り組み案を検討

2018年01月24日 08:12

画・医師にも「働き方改革」、職種に応し_た取り組み案を検討

医師という職業についての働き方改革が議論されている。長時間勤務が常態化しているだけに、医師の負担軽減は大きなテーマともいえる部分だが、専門性が高い職業だけに簡単にはいかない側面もある。

 働き方改革とは、現在政府が主導となって進められている政策のひとつである。一般企業を中心に様々な改革が議論・推進されているが、この働き方改革については医師についても議論が始まった。医師といえば、その職種にもよるが長時間勤務が常態化しており、少子高齢化で将来的なニーズも高いことから、勤務形態についても議論すべきとの意見が多かった。専門性の高い職種であることから、政府の働き方改革でも、医師については罰則規定ありの残業規制導入については5年間の猶予期間が設定されているものの、働き方そのものについての取り組みは自主的に進めるべきとの観点から今回の議論となった。

 医師がどのように働くべきか、ということを議論する厚生労働省の有識者会議では、業務分担や勤務時間の把握などについての対策案をまとめ、医療機関に提出する。たとえば、業務の分担については、検査や入院等の場合の説明や、採血、診断書の入力などといった業務は医師以外の職種が行うことが望ましいとされているが、現状では分担が進んでいない。また、出退勤時間の的確な把握をするための方策や、短時間勤務の推進などといった医師の長時間勤務を常態化しないように負担を軽減することがこれらの案の中には盛り込まれている。

 ただし、こうした医師の働き方改革の中には様々な課題も残されている。医師という職業については専門性が高いことに加えて緊急性という概念もあり、他の業種のように残業をせずに合理性と効率性だけを考えていれば良いというわけにはいかないからだ。従って、医師の働き方改革については国民に対しての周知と理解も徹底する必要があり、特に現在医療機関を利用している患者やその家族に対しての説明なども同時に検討する必要がある。

 政府の主導する働き方改革の目的は、適切な労働環境で働くことで生産性を向上させるという点にある。つまり、現状よりもさらに成長するためのひとつの方法として、働き方改革を議論すべきという理由だ。医師という職業についても、働き方改革については等しく議論されるべきであり、彼らの犠牲のうえに成り立つような社会というのは日本のあるべき姿ではないだろう。ただし、医師という職業が特殊な立場であるということもまた事実である。等しく議論すべきことではあるが、他の職業と全く同列に扱うことができないというジレンマがあるのも、医師という職業のひとつの特徴である。(編集担当:久保田雄城)