2月16日、文科省、環境省、農水省、国交省、気象庁は合同で、主に日本を対象とした気候変動の観測・予測および影響評価分野の最新の知見を取りまとめた「気候変動の観測・予測・影響評価に関する統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~」を公表した。
レポートでは、「日本では世界より速いペースで気温が上昇している」とされている。日本の年平均気温は100年あたり1.19度の割合で上昇しており、一方、世界の年平均気温は、1880~2012 年の133年間で0.85度上昇していると推計され、日本の気温上昇は世界の平均よりも早い速度で上昇していると言える。
異常高温の出現数は増加している一方、異常低温の出現数は減少している。この傾向は1980年代後半より著しくなっている。真夏日、猛暑日の年間日数も1931~2016年で増加傾向を示し、猛暑日は10年あたり0.2日の割合で増加している。熱帯夜の日数は同期間に10年あたり1.7日の割合で増加している。
日本の気候の将来予測については4つのシナリオで予測計算が行われており、21世紀末には、0.5~5.4度の幅で平均気温が上昇すると予測されている。
21世紀末の真夏日の年間日数の予測結果は全国的に増加するとされ、地域別では、西日本や沖縄・奄美で大きく増加すると予測されている。猛暑日や熱帯夜についても全国的に増加が予測され、特に沖縄・奄美で著しいと予測されている。
冬日のシミュレーションでは沖縄・奄美を除く全国で減少すると予測され、北日本 日本海側で年間65日程度の減少、西日本太平洋側で32日程度の減少になると予測されている。
降水量については100mm以上の大雨の日数が増加しており、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の発生回数が増加している一方で、降水の日数は減少している。予測では、21世紀末における短時間強雨の発生回数は全ての地域および季節で増加するとされている一方で、降水日自体は全国的に減少すると予測されている。
農産物への影響では、米や果実の品質低下、栽培適地の変化が指摘されており、また、サンマの行動変化や体重の減少など漁業への影響も指摘されている。
レポートの最後は「既に現れている影響や中長期的に避けられない影響に対して適応を進めることが求められている」と結ばれている。(編集担当:久保田雄城)