メルセデス、Sクラスに「ISG」と呼ぶ48Vマイルドハイブリッドを追加

2018年03月04日 14:33

Mercedes 48V_Hybrid

メルセデス・ベンツは、一切“ハイブリッド”とは言及しないが、「48Vマイルドハイブリッド」をSクラスに搭載して日本でも発売。基本のガソリンエンジンは、およそ20年ぶりの“直列”6気筒だ

 メルセデス・ベンツ日本は、最高級セダン「新型Sクラス」に新技術「ISG」(Integrated Starter Generator)を搭載した「S 450」、装備を充実させた「S 450 エクスクルーシブ」、そして13cm全長が長く、後席空間を広げた「S 450 ロング」の3モデルを追加した。納車は4月頃を予定、S 450 ロングは夏頃の納車を予定する。

 現行のSクラスは、2013年に登場した、時代の最先端を行く「インテリジェントドライブ=知能を備えた革新的テクノロジー」「究極の快適性」「徹底した効率向上」を搭載した「新時代のプレステージカー」だ。

 2017年、安全性と快適性、効率性を高次元で融合する「インテリジェントドライブ」がさらに大きく進化、クルマが通信機能を持ち利便性を飛躍的に向上させる「Mercedes me connect」を初導入、新開発のパワートレインの導入など、安全性と快適性、効率性など自動車に求められるあらゆる要素を兼ね備えて生まれ変わった。

 今回登場した「S 450」、「S 450 エクスクルーシブ」および「S 450 ロング」は、バランスに優れ、コンパクトな「新型直列6気筒エンジン」と「ISG」「48V電気システム」および「電動スーパーチャージャー」などの新技術を搭載し、効率性、快適性、高性能化を同時に実現したモデルだ。

 今回、3モデルに搭載した新型「M256型」エンジンは、単体で最高出力367ps(270kW)、最大トルク500Nmを発生。メルセデスにとって1997年以来約20年ぶりの“直列”6気筒エンジンの採用となり、電化を前提にして設計された初めてのパワーユニットだ。直列エンジンの採用によりエンジン左右のスペースに補器類を配置することが可能になり、従来はエンジン回転を動力源としていたパワーステアリングやエアコン、ウォーターポンプなども電動化したため、エンジン前部のベルト駆動装置が不要となった。また、エンジン近接型の触媒を採用し、より効率的な排出ガス処理を可能にした。さらに、12mmオフセットされたエンジンや、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングすることで、フリクションロスを低減している。

 加えて、排気で過給するターボチャージャーではなく、低回転域で過給を行なう「電動スーパーチャージャー」を搭載することにより、ターボラグを解消。「電動スーパーチャージャー」と「ISG」(Integrated Starter Generator)による動力補助および排気ターボチャージャーとの組み合わせで、あらゆる回転域で俊敏なエンジンレスポンスを実現した。

 「ISG」は、エンジンとトランスミッションの間に配置された、最高出力16kW 、最大トルク250Nmを発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねる。この電気モーターと「48V電気システム」により、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行ない、約1kWhのリチウムイオンバッテリーに充電する。エンジンが低回転時には、その電力を利用して動力補助を実施、高い効率性と、力強い加速を実現。12Vから48Vまで高めた電気システムにより、動力補助に十分な出力を得ることができる。一方、60Vを下回る電圧としたことで、専用の乗員保護機構は不要となった。

 スターターが従来の12Vよりも高出力な電気モーターとなることで、エンジン始動時の振動を抑え、エンジンスタートおよびアイドリングストップの際の再スタートの快適性も向上した。

 また、2秒以下のエンジン停止は、アイドリングストップをしない時よりも燃料消費量を増加させることから、ドライバーの走行データやレーダーセンサーからの情報をもとに、エンジンが2秒以上停止しないと予測した場合には、あえてエンジンを停止しない機能も採用している。さらに、アイドリング時には、電気モーターの充電電流を調整することで、エンジン回転数を520rpmという低回転で安定的に保つことを可能にし、効率性、快適性および静粛性に寄与する。

 価格は「S 450」が1147.0万円、装備を充実させた「S 450 エクスクルーシブ」が1363.0万円、「S 450 ロング」が1473.0万円だ。(編集担当:吉田恒)