2018年になって、デトロイトとジュネーブの2大国際モーターショーが開催された。自動車大手の今後の戦略を示す具体的な提案はあったのだろうか。国内各社の自動車電動化に向けた動きを軸に探ってみたい。
そのためには年間2800万台という巨大自動車市場を抱える中国の動向から目が離せない。
中国共産党中央委員会は2月25日、国家主席の2期10年の任期を撤廃する憲法改正案を発表。3月5日から始まる全国人民代表大会で改正され、習近平主席は3期目以降も現職にとどまる。
このような中国共産党の動きに世界が注目するのは、習近平の終身統治が世界秩序を瓦解する可能性があるからだ。習近平が率いる中国は、経済で世界のリーダーを目指すと明言している。それが実現すれば、欧米などの市場資本主義、民主主義、個人の権利を重視する価値観に基づく政治制度・秩序が失われかねない。
しかし、それでもなお、世界最大級の市場規模を誇る中国に対し、日本を含めた欧米の企業が殺到する。なかでも自動車産業の動きが急だ。
何故か? 中国も英仏に次いで“自動車の電動化”を明言し、自動車各社に2019年から一定比率の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの生産・販売を義務付ける規制が導入するからだ。
世界最大の中国市場に対し、日系メーカーによるEV投入の動きも本格化してきた。
ホンダは、2018年中に中国専用EVを投入することを発表し、2017年の上海モーターショーで具体策を示した。それによると、ホンダは現地合弁会社である広汽ホンダと東風ホンダの2社と共同で電気自動車を開発し、合弁会社それぞれのブランドで販売するという。
さらに、トヨタもマツダと共同開発したEVを2019年に中国でリリースする予定だ。また、2025年までに、レクサスの全車種でEVや燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)などを設定する。
ホンダは、2018年中に中国専用車を投入することを発表し、2017年9月に具体策を示している。それによると、ホンダは現地合弁会社である広汽ホンダと東風ホンダの2社共同で新しいを開EV開発し、合弁会社それぞれのブランドで販売するという計画だ。
日産自動車は、ルノー・三菱自動車を加えたアライアンスで中国向けEVラインアップの強化を図る。まず、今年中に日産は新型「リーフ」を中国に投入し、さらに新しいEVを複数投入する計画だ。
このルノー日産・三菱アライアンスは、2022年までに全世界の年間販売目標1400万台のうち3割を電動車にする計画だ。現在よりも35%増しとなる世界販売1400万台という数字は。カルロス・ゴーン氏の大風呂敷ともいえるが、その達成のために、3社でEV用の車台や部品を共有化し、新規で全世界で12車種のEVを投入する。
日産は、スイス・ジュネーブで3月8日?18日に開催されている「第88回ジュネーブ国際モーターショー」で、2018年?2019年シーズンからFIA主催の電動フォーミュラカーレース「Formula E」に参戦する、オリジナルマシンを展示し、意気軒昂なところをアピールした。(編集担当:吉田恒)