権限行使で原発事故防げた可能性高いと京都地裁

2018年03月16日 06:57

 国と東京電力は「津波を予見できた」。また、2006年末までに規制権限を行使すべきで、行使していれば「原発事故を防げた可能性が高い」。まさに人災との認識を示した判決が15日、京都地裁であった。

 東京電力福島第一原発事故で福島や宮城、千葉などから京都府に避難してきた57世帯174人が国と東京電力に総額8億4660万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、京都地裁は国と東京電力は津波を予見できたとして、原告のうち101人に総額約1億1000万円を支払うよう命じた。

 国は「長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった」と反論していた。

 社会民主党の又市征治代表は「原告は避難指示などが出た区域外に居住していたが、被ばくの不安などから自主避難した人がほとんど。原発事故によって平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴えていた。判決は、避難指示に基づく避難でなくとも、原発からの距離や避難指示区域との近接性、地元自治体の自主避難の状況など、個人ごとの当時の状況によっては自主的に避難を決断するのも合理性があると判断した」と評するコメントを発表した。(編集担当:森高龍二)