自民案では集団的自衛権行使確実に拡大、岡田氏

2018年03月29日 06:39

 会派無所属の会代表の岡田克也元副総理(衆議院議員)は憲法9条2項(戦力不保持・交戦権の否認条項)を残したうえで、「9条の2」を設け「自衛隊」を書き込む自民党の改正案とりまとめ方針に、27日のブログで「党内議論も不十分なまま、拙速にまとめられたもので、多くの疑問がある」と指摘した。

 また「そもそも立憲主義や憲法の平和主義を理解しない安倍総理のもとでは(まともな議論ができないことから)憲法論議、特に9条に関する議論をすることは反対」との立場を明確にし、安倍政権下では「憲法9条の議論はすべきではない」と断じた。

そのうえで、今回発表された自民党の『9条の2』追加案について「自民党の当初案にあった『必要最小限度の実力組織』を『実力組織』としたことで、武力行使の範囲が大きく拡大し、専守防衛の考え方を変えることになりかねない。安倍総理は『9条の解釈は変わらない』とたびたび明言しているが、明らかに今までの憲法解釈を否定し、異なる考え方を憲法に明記するもの」になると、警鐘を鳴らしている。

 また、自民党の改正案で「我が国の平和と独立を守るために必要な自衛の措置をとることを妨げず」としていることにも「あまりにも漠然とした表現で、規範としての役割を果たしていない」と問題視した。

岡田氏は「安全保障法制の議論では『我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態』と法律に明記された。この表現自体、大きな曖昧さを残すものだが、それと比べても明らかに武力行使の範囲が拡大している。この規定では広い範囲で集団的自衛権の行使が認められることは確実だろう」と問題点をあげた。

岡田氏は「憲法9条改正は、まず、憲法の大原則である平和主義をどう考えるか。そして、我が国にとって必要な自衛権行使の内容を冷静に議論し、国民の理解を得ることこそが必要。その上で、必要に応じて憲法の文言をどう変えるか、その憲法のもとで、どのような安全保障法制を整備するかを論じる、というのが順序だ」と訴えている。(編集担当:森高龍二)