トヨタ自動車は、同社がかねてより開発を進め、愛知県豊田市などで定期路線バスとして実証実験を重ねてきた、燃料電池バス(FCバス)「SORA」の型式認証をFCバスとして国内で初めて取得し、3 月7 日より販売を開始した。
バスの名称「SORA」は、日本語の“空”ではなく、地球の水の循環を表しており、Sky、Ocean、River、Airの頭文字をつなげてモデル名とした。
今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京を中心に100台以上のFCバス導入が予定。市街地を走行するFC バスが増えるにつれて、一般社会からの理解が高まっていくことが期待される。
SORAに搭載するパワーユニットは、トヨタの燃料電池車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時にCO2 や環境負荷物質をまったく排出しない優れた環境性能と、騒音や振動が少ない快適な乗り心地を実現した。
また、大容量外部給電システムを搭載しており、高出力かつ大容量の電源供給能力(最高出力9kW、供給電力量235kWh)を備えており、「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」として、災害時などで大容量電源としての利用が可能だ。
SORAの開発にあたっても、利用者に移動の自由を提供し、街のアイコンとして親しまれるバスを追求した。社会で働くクルマであるからこそ、環境に配慮するとともに、利用者にとって「移動」がチャレンジするための障害ではなく、夢を叶えるための可能性との考え方から、人を中心に考えたユニバーサルデザインと機能を採用した。
そのひとつが、日本初の「自動格納機構付き横向きシート」で、未使用時には自動的に格納されるシートを採用し、ベビーカーや車いす利用者と一般利用者の居住性を両立させた。
SORAの車両寸法は、全長×全幅×全高10525×2490×3550mmで、従来の路線バスなどの車両とほぼ同等だが、従来の路線バスに見られる単なる六面体(箱形)ボディと大きく異なる立体的な造形を追求し、前後ランプにLED 採用、ひと目でFC バスとわかる特徴的なデザインとした。
乗車定員(座席+立席+乗務員)は22+56+1(計79)人、車両価格などは発表されていない。(編集担当:吉田恒)