放送法4条撤廃検討に批判・懸念相次ぐ

2018年04月05日 06:16

 放送番組での政治的公平性を求めた「放送法4条」の撤廃について検討していることを内閣府の林幸宏規制改革推進室次長は3日の衆院総務委員会で「限定することなく、幅広く意見聴取している」と事実上、検討対象にしていることを認めた。

 放送法4条の撤廃について当然ながら批判や懸念の声があがっている。野田聖子総務大臣も同日の委員会で「4条を撤廃した場合、公序良俗を害するような番組や事実に基づかない報道(虚偽のニュース)が増加する可能性が十分考えられる」と明確な答弁をし、懸念を示した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「ますます中立公正な放送が求められている時代に、これをなくすのは論外」と断じ「議論にも値しない」と政府の姿勢を問題視した。

同様に日本共産党の小池晃書記局長も4日までの会見で「検討自体、言語道断だ」と断じた。小池氏は「放送法4条は国民を戦争へ駆り立てる道具になった戦前の放送事業の教訓を踏まえて確立された原則だ」と重要な意義を有する規定であることを強調。

そのうえで「4条を撤廃すれば放送法の根本を否定することになる。このような改定を許せば『表現の自由』『国民の知る権利』が根本から破壊されることになる」と強く警鐘を鳴らした。

社会民主党の福島みずほ副党首はツイッターで厚労省東京労働局長が記者会見で「何なら皆さんのところへ行って是正勧告してあげてもいい」と発言したことにも触れ「局長の発言に端的に見られるようにメディアに対して圧力や恫喝を加えている安倍政権。放送法を改悪し、政治的中立性をなくせば、安倍内閣を礼賛するテレビ局が増殖するだろう。それが狙い」と危険性を指摘した。

日本民放放送連盟の井上弘会長は3月会見で、放送法改正への動きに「フェイクニュースへの対応が世界的に共通の社会問題になってきた昨今、バランスの取れた情報を無料で送り続ける私たち放送の役割は、これまで以上に重要になり、だからこそ私たちも、これまで以上に真摯に国民視聴者の皆さんの要望や期待と向き合っていかなければならないと思う」と述べ「政府の規制改革推進会議の方々には、単なる資本の論理、産業論だけで放送を切り分けてほしくないし、バランスの取れた議論をお願いしたい」と慎重な対応を求めた。(編集担当:森高龍二)