安倍政権は「一億総活躍社会」の実現を唱えている。これは女性が輝く社会であり、高齢者も若者も、障害者も平等にチャンスが与えられ活躍できる社会のことだ。女性の活躍については主に働き方改革で議論される。
1986年、男女雇用均等法が制定されたが、これは職場における男女の差別を禁止したものだ。政府は2015年、新たに女性活躍推進法を制定し、積極的に女性の活躍を支援する政策を提言した。これにはワークライフバランスの是正も視野に入っている。人口減少社会の中で女性が貴重な労働力であることは間違いない。また一方で少子化の問題もあり、ワークライフバランスにも十分な配慮が必要である。
いずれにせよ、女性が自らの意志に従い安心して働ける環境整備が重要だ。多くの企業が積極的にこれに取り組んでいる。しかし、そこに慣習から来る無意識の偏見が存在していないだろうか。
5日、人材サービスのサイコム・ブレインズが社会人男女154名をサンプルに女性活躍に対する「無意識の偏見」に関する意識調査をインターネット上で実施、その結果を公表した。
「無意識の偏見」について「存在を感じたことがある」と答えた者は女性で75%、「ありそうな気がする」が18%で、両者を合わせると93%が職場での「無意識の偏見」があると回答している。男性でも「感じた」と「ありそう」を合わせると85%にものぼる。
具体的にどのような「偏見」が存在するか尋ねたところ、「男女の役割・業務分担」が女性で67%、男性で73%と最も多く、次いで「女性が管理職になること」が女性で53%、男性で54%、「育児・介護にかかわる社員の仕事ぶり」が女性33%、男性46%の順になっている。
「無意識の偏見」とは、「女性に責任の重い業務を担当させるのはむずかしいだろう」とか「小さな子供を持つ女性に出張は無理」など性別、年齢、子供の有無などの思い込みで働き方を決めつけてしまうことを意味する。個人の価値観や抱えている事情は多様である。性別や子供の有無などの外形的属性で個人を判断してはいけない。
一般的な社会の慣習から良かれと思って判断したことが当事者の人権を結果として侵害してしまうことも起こり得る。本人の意志がなによりも大切であり、それ故に本人の意志の最終確認を怠ってはならない。(編集担当:久保田雄城)