主要企業の4-12月決算は、2月12-15日が事実上のラストウィークだった。ビール業界のように12月本決算も入っている。
今週発表された内需型企業の決算を見てみると、マツモトキヨシHD<3088>は、売上高が5.8%増の3453億円、営業利益は8.9%増の144億円、純利益は24.0%増の86億円で過去最高益。冬場に風邪予防のマスクや消毒液など季節商品が好調で既存店売上高が増えた。利益率の高い自主企画(PB)商品の伸びが収益に貢献している。増収増益の通期業績見通しは据え置いたが、新たに創業80周年の記念配当10円を加え、通期の年間配当を前期比10円増の50円とした。
キリンHD<2503>は12月期本決算。売上高は5.5%増の2兆1861億円、営業利益は7.1%増の1530億円、純利益は約7.5倍の561億円。国内は減速気味のビール系飲料の販売テコ入れのために販促費を積み増して利益が圧迫されたが、海外事業の強化が効果をあげて売上高の海外比率が26%に高まり収益に貢献した。医薬・バイオは減収増益。通期業績見通しは、売上高は4.7%増の2兆2900億円、営業利益は1.3%増の1550億円、純利益は60.1%増の900億円。年間配当見通しは前期から7円増配して36円とした。
アサヒGHD<2502>は12月期本決算。売上高は8.0%増の1兆5790億円、営業利益は1.2%増の1084億円、純利益は3.8%増の571億円。飲料事業はアサヒ飲料の売上増、カルピスの業績上乗せがあったが、酒類事業はノンアルコールビール「ドライゼロ」がヒットしたものの全般に伸びが小さく、販促費の増加で利益が抑えられた。通期業績見通しは、売上高は8.9%増の1兆7200億円、営業利益は8.8%増の1180億円、純利益は14.5%増の655億円。年間配当見通しは前期から15円増配して43円とした。
山崎製パン<2212>は12月期本決算。売上高は2.0%増の9515億円、営業利益は13.7%減の247億円、純利益は34.5%増の107億円。主力商品の食パンの単価が消費者の低価格志向で下落。小麦や油脂など原料費の高騰、販促費の増加もあり営業利益減となった。通期業績見通しは、売上高は0.6%増の9570億円、営業利益は11.1%増の275億円、純利益は34.4%増の145億円。年間配当見通しは前期と同じ16円とした。
不二家<2211>は12月期本決算。売上高は2.6%増の899億円、営業利益は54.2%増の16億円、純利益は約4倍の21億円。スーパーやコンビニへの積極的な営業活動が功を奏して売上が伸び、中国事業も反日デモの痛手は小さく収益性が大きく改善した。通期業績見通しは、売上高は3.4%増の930億円、営業利益は12.0%増の180億円、純利益は10.9%増の240億円。前期に8期ぶりに復配したが、年間配当見通しは2円で据え置き。
王子HD<3861>は、売上高は0.6%増の9257億円、営業利益は17.2%減の402億円、純利益は1.9%増の194億円。国内の印刷用紙や段ボールの需要は低迷したが、ブラジルのパルプ販売会社を子会社化するなど海外M&A効果で増収。円安で為替差損益が大幅に改善している。増収減益の通期業績見通し、年間配当見通しは据え置き。
大王製紙<3880>は、売上高は0.4%増の3045億円、営業利益は8.3%増の73億円、純利益は125億円(前年同期は32億円の赤字)。しかし印刷用紙や家庭用紙の販売が伸びない上に円安で原材料や燃料が高騰して当初見通しより採算が大きく悪化している。通期業績見通しは、売上高は40億円、営業利益は20億円下方修正。1月に50億円下方修正した純利益は、さらに15億円下方修正した。8.5円の年間配当見通しは据え置き。
楽天<4755>は12月期本決算。売上高は16.7%増の4434億円、営業利益は2.1%増の722億円、純利益は194億円(前期は22億円の赤字)。アマゾンなどと激しく競合する主力事業のネット通販はスマホ、タブレットなどモバイル経由の売上の伸び率が回復したが、海外事業は積極的な企業買収で先行投資しており部門としてはまだ赤字。年間配当は3円だが昨年7月に1→100株の株式分割を行ったため事実上は前期の250円から50円増配。国際会計基準に移行するために業績見通し、年間配当見通しは公表していない。
安倍政権の経済政策が一定の効果が生み出すとしても、外需型企業に比べると少し後になることが予想される内需型企業。特に、個人の所得増、個人消費の回復に頼るしかない小売、サービス業あたりは、その効果が数字となって現れてくるのはさらに先になりそうだ。(編集担当:寺尾淳)