専守防衛「歯止めのGDP1%」厳守せよ

2018年05月27日 11:41

画・5%。少ないながらも自衛隊縮小を求める声はある

。専守防衛厳守から、これまで防衛費拡大の歯止めを果たしてきたGDP比「1%」の壁を「2%」にしようとの動きを強めている

 政府・自民党の防衛戦略。「防衛費」でも米・トランプ大統領の意向に沿う大幅増に進みかねない危険を帯びる。専守防衛厳守から、これまで防衛費拡大の歯止めを果たしてきたGDP比「1%」の壁を「2%」にしようとの動きを強めている。額にすれば10兆円を超える。

 トランプ大統領はNATO加盟国にGDP2%を要求した経緯があり、安倍政権が日本においてもGDP比を2%に引き上げれば、トランプ大統領が求める、求めないにかかわらず、意向に沿う結果にもなる。

 第2次安倍政権発足から防衛費は6年連続拡大。13年度4兆7500億円だった額は18年度には5兆2600億円になった。15年度から過去最高を更新中だ。それでも、GDP比は「1%」枠をキープしてきた。この枠組みが壊されれば財政上とんでもない聖域を許すことになりかねない。

 自民党国防関係会合で「NATOがGDP2%を目指していることを参考にすべき」との意見が出た際、当時の稲田朋美防衛大臣は「わが国自身の防衛力が質・量ともにどうあるべきか、自らが果たし得る役割の拡大をしっかり果たしていくにはどうあるべきかという観点から考えるべき」と述べた。「他国から言われて対応するとか、GDPに機械的に決まるというものではない」と答えた。それはそうだろう。

 その前提にしなければならないのは「戦力不保持」「国防のための必要最小限の防衛装備」を規定する「第9条」遵守姿勢がなければならない。自民党は憲法改正し「必要最小限」を放棄したいようだが、判断の立ち位置を間違えれば軍拡競争に巻き込まれ、近隣諸国と緊張を高め、軍需産業のみが喜ぶことになるだろう。

 防衛費GDP比2%を支持の世論づくりに新たな情報展開も予想されるが、日本を取り巻く安全保障環境に必要以上の危機感をあおる世論形成は許されない。政府・自民党は憲法「9条」を遵守し、防衛装備は専守防衛に則した「必要最小限」にとどめるできだ。安全保障は外交努力を最重視した取り組みこそ、国民が求めている。(編集担当:森高龍二)