オーナーズ・スタイルが「入居者トラブルについてのアンケート調査」を実施。90%近くのオーナーが何らかのトラブルを経験。最も多いトラブルは「家賃滞納・入金の遅れ」で38.3%。そのうちの約3分の1が強制退去。
4月、神戸市で71歳の女性が2階の自宅のベランダから1階住民に植木鉢の砂をかけた疑いで逮捕された。17年には神奈川県座間市で9人の遺体が見つかったという事件が起こり、現場となった賃貸アパートでは、事件後も住み続ける住民のためにオーナーによる慰霊祭が行われた。集合住宅である限り入居者によるトラブルを100%防ぐことは無理であろう。賃貸住宅のオーナー達に体験したトラブルの経験を聞いてみたところ、実に9割近くが何らかのトラブルを経験しているようだ。
賃貸経営情報誌の「オーナーズ・スタイル」が首都圏版の読者3万8000人を対象に「これまで起きた入居者トラブルについてのアンケート調査」を実施した。調査結果を見ると「家賃滞納・入金の遅れ」が38.3%にものぼり、2位以下を大きく離し最も多くなっている。しかも、そのうちの3件に1件、全体の12.4%が強制退去という法的手続きを取るに至るまでの結果になっている。多いものから5番目には「退去時の敷金返還でもめた」と答えた者が20.6%おり、金銭的トラブルは賃貸経営において代表的なトラブルであるようだ。
この他、「室内の汚損」が30.8%と2番目に多く、「ゴミ出しマナーが守られない」も29.3%、「廊下などの共用部に物を置かれた」が19.6%、「集合ポスト付近のチラシ等の散乱」15.8%、「ペット不可なのにペットを飼われた」12.4%なども上位にランクしており、ルールを守らない入居者への対応も日常的な悩みのようである。
また、「入居者の孤独死」を経験した者は4.7%、「入居者の逮捕」を経験したという者も4.6%と深刻な状況を経験したオーナーも少なくない。「入居者が反社会勢力だった」というケースも18件存在する。いざという時の保証会社との連絡や損害賠償などの手続きも把握しておくことが重要なようである。
賃貸オーナーは不労所得を得ているというイメージがあるが、賃貸経営に関しオーナーの意識も変わってきているようだ。このレポートでは「トラブルを単なる不運と考えず、常に情報収集し、主体的にリスク管理できる大家さんが生き残っていく時代になりつつある」とまとめている。民法改正もあり賃貸の法的ルールは厳格化の方向で変わって行っている。賃貸経営も十分なマネジメント能力が必要となってきている時代だ。(編集担当:久保田雄城)