保育士が不足していても保育所を設置できるよう、政府は国家戦略特区において特例を設けることを決めた。資格保有者以外のいる保育所も国からの補助金を受けられるようになり、より多くの人材が保育士として働くための土壌づくりになると期待される。
保育士が不足していても保育所を設置できるよう、政府は国家戦略特区において特例を設けることを決めた。厚生労働省は2019年度予算の概算要求に必要経費を計上する予定だ。保育士不足による待機児童の解消が期待される。
そもそも保育所には施設の広さや保育士の数などの国の設置基準を満たした認可保育所とそうではない認可外保育所とがある。認可保育所は原則としてすべての職員が保育士の資格を保有していることが求められ、国からの補助金や各地方自治体からの補助金を受けられる。一方で認可外保育所は職員の3分の1が保育士の資格を持っていれば設置できる一方、補助金は受けられず保育料の高騰や施設の整備不足が指摘されてきた。そこで地域を限定し大幅な規制緩和を行うことを目的とした国家戦略特区で地方裁量型認可化移行施設の設置を認める方針だ。職員全員が保育士の資格を持っていなくても、職員のうち6割が資格保有者であれば認可保育所と同等の補助金が受けられる。
国家戦略特区においては、地域限定保育士試験が15年度から始まるなど保育士不足を補うための政策が施行されてきた。東京圏、関西圏をはじめ、愛知県、沖縄県、新潟市、広島県今治市、福岡県北九州市などが国家戦略特区として多くの分野での規制緩和を受けられる。今回の地方裁量型認可化移行施設の設置もその一環だ。ただし地方裁量型認可化移行施設はあくまで認可保育所への移行段階にある施設であり、5年をめどに認可保育所への移行を促す。自治体の判断によっては期間の延長も可能だ。地方裁量型認可化移行施設の増加によって、資格保有者以外のいる保育所も国からの補助金を受けられるようになり、より多くの人材が保育士として働くための土壌づくりになると期待される。保育所を利用できない待機児童は17年10月の時点で前年比7,965人増加の55,433人となっている。働く親が安心して働き続けられる環境整備のためにも、地方裁量型認可化移行施設の効果に期待したい。(編集担当:久保田雄城)