労働時間でなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度の創設を含む働き方改革関連法案が29日の参院本会議で自民・公明など賛成235、立憲民主、日本共産など反対71の賛成多数で可決、成立した。
政府は高度プロフェッショナル制度の創設は「労働者のニーズ」であり「働く時間帯の選択や時間配分は労働者自らが決定するもの」(安倍総理)などと説明してきたが、労働者が仕事量や労働時間を自らの裁量で決められる規定が法律に担保されていないほか、前日の参院厚生労働委員会での採決でも採決後に、委員会として47の付帯決議をしなければならないような状況だった。
法案に反対してきた社会民主党の吉川はじめ幹事長は「附帯決議は、衆議院段階で12項目だったものが、参議院では47項目となった。それだけ懸念や留意点があるということは、審議を続け問題点を浮き彫りにし、廃案に追い込むべき問題法案であったことを示している」と指摘。
そのうえで「本日の法案成立は、良識の府たる参議院の役割放棄であり、立法府の自殺行為であるといわざるを得ない。すべての働く者とその家族に関わる重要な法案を強引に押し通す、安倍政権の強権的な姿勢に断固抗議する」との談話を発表した。
また「時間に縛られなくなるメリットを享受するのは労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されなくなる経営側」と指摘。
健康管理に関しても「高プロの規定に違反する罰則規定は設けられていないし、法違反の立証や労災申請・認定も極めて困難になる。過労死しても自己責任となりかねないし、そもそも過労死の認定自体が難しくなる。高プロ導入には本人の同意が必要、同意後に撤回できるなどといっても、労働者と企業の力関係を考えれば労働者の拒否権に実効性はない。同意しなかった場合に解雇や不利益な扱いを受けても、労働基準監督署は指導も罰則を科すこともできない」と課題をあげた。(編集担当:森高龍二)