野党の質疑時間わずか「各党45分」という中、民主主義の根本ともいえる参議院の選挙制度にかかわる公職選挙法改正案(定数を6増する自民案)が11日、参院本会議で自民、公明の数の力により賛成多数で可決、今国会成立を狙い衆院へ送付された。立憲民主党は採決に値しないと抗議のため本会議での採決時に退席した。
自民案は参院埼玉選挙区定数を『2増』するほか、比例代表では『4増』する。加えて比例の一部に「拘束名簿」を導入する。狙いは鳥取・島根と徳島・高知が合区になったことから、合区であぶれた党の候補者を拘束名簿に入れ救済すること。野党からも、国民からも「党利党略」「この時世に定数を増やしてどうする」など批判の声があがっている。
それでも自民、公明は今国会に成立させ、来年夏の選挙に間に合わせる考えで、国民無視のご都合主義を決め込む姿勢だ。参院特別委員会での野党の質疑時間はなんと45分。小西洋之参院議員が指摘した。また本会議前の特別委員会での採決では自民党議員から「質疑終局・討論省略・自民党案の採決」を求める動議が提出され、討論が省略された。国民民主党の舟山康江参院国対委員長は記者会見で「討論省略は言論封殺だ」と強く非難した。
小西議員は本会議反対討論で「選挙制度は民主主義の根幹。議長を輩出した第一会派が、党利党略の選挙制度を数の力で強行し、議長がそれを追認するのであれば、それは、我が国の民主主義そのものを否定する暴挙と言わざるを得えない。また選挙制度は国民のためのものであり、自民党のものではない。党利党略による選挙制度の私物化は民主主義の否定であり、断じて許されようがない」と厳しく非難した。
いずれにしても審議は衆議院に移された。「なんでも数の力で好きなようにできるなら民主主義は終わる」(立憲民主党・福山哲郎幹事長)。JNNの世論調査でも69%自民党案に反対しているなか、自公には謙虚さが強く求められる。(編集担当:森高龍二)