経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、IT人材の数は2015年時点ですでに約17万人が不足していることが明らかになった。IT人材とは、企業のセキュリティシステムやプログラミングなどを担当する能力・技術のある人材のことだが、年々その人材不足は顕著になりつつある。
経済産業省の試算によれば、15年時点で約17万人だったIT人材の不足は、20年には約19万人に増加し、30年にはなんと約79万人に膨れ上がる。そもそも労働人口が19年にピークを迎え、少子化の影響によりその後減少していくことが明らかになっている中で、IT人材の不足は深刻化する一方だ。IT人材がこれほどまでに急激に人材不足に陥ったのにはいくつかの理由がある。まずはIT分野の成長が急激すぎたということだ。ITの技術の発展は目覚ましいものがあり、つい先日発表された技術が今日はもう時代遅れということもあるほどだ。そのためIT人材となる技術者は日々変化する技術についていかなければならず、なかなか人材が育たないというのが現状だ。さらに急激な需要の増加も人材不足を招いている。インターネットの普及に伴って各企業は情報の保護などを目的にセキュリティシステムを強化しなければならず、IT人材の争奪戦が続いている。需要の急激な増加に供給がまったく追い付いていないため深刻な人材不足が生じているのだ。
企業の人材争奪戦も激化している。今ではエンジニアなどのIT人材の転職先は数多くあり、企業がこぞって好待遇でIT人材の受け入れを行っている。以前のIT人材に対して抱かれていた、「低賃金、長時間労働」というイメージは払しょくされつつある。ただ既にいるIT人材は徐々に高齢化が進みつつあり、今いるIT人材を受け入れるだけでは人材不足の根本的な解決は見込めない。企業は今後、転職を希望するIT人材の受け入れ先となるだけではなく、自社内で人材を育成する制度を作ったり、資格取得を支援する体制を整えたりすることが必要になるだろう。(編集担当:久保田雄城)