東京医科大の行為「万死に値の大罪」野田元総理

2018年09月20日 06:38

 野田佳彦元総理は19日までのブログで、東京医科大学が女性や多浪の男子受験生を不当に差別していたことに、大器晩成型の受験者の「夢」を摘み取る「万死に値する大罪」と指摘した。

 野田元総理は、まず、女子受験生を不利に扱った背景について「医師不足による医療現場における長時間労働が女性の出産・子育てとの両立を困難にし、女性医師の離職率を高めていることが背景にある」との認識を示した。

 そのうえで「慢性的な医師不足を解決するため、男子を優先的に入学させる悪循環に陥っているのかもしれない」とし「政府は調査結果をしっかり分析し、医療分野における働き方改革、女性の働きやすい医療現場なども含めた改善を検討すべき」と求めた。また「女性活躍」を目的とした補助金を3年間で約8000万円も受け取っていた。「全額返還させるべき」と返還させるよう求めた。

 一方、東京医大が3年以上の浪人生を不利に扱い、合格を抑制していたことにも「理不尽極まりない」とし、野田氏は高校時代の柔道部仲間をとりあげ「(彼は)昼休みには道場の畳の上に寝転び、吉川栄治の『宮本武蔵』や『親鸞』を読みふけるような求道者みたいな男だった。彼は3浪し、浜松医大に合格した。母子家庭だったので苦労したはず。その後、ハーバード大学院に学び、紛争地域や途上国の現場も経験し、現在は公衆衛生等を専門とする東京大学大学院教授になっている」と例示。

 そのうえで「複数年浪人する若者の中には、スロースターターの大器晩成型もいる。東京医大は国を欺いたのみならず、不透明な選抜により浪人生や女子を欺いた。彼、彼女らの夢を摘み取り、志を挫いた。万死に値する大罪」と二度とあってはならないと訴えている。

 入学試験の不正については東京医科大が8月28日に元最高裁判所判事で弁護士の那須弘平氏を委員長とする第3者委員会を設置。今年度の医学部医学科の入学試験から調査に着手。10月中をめどに結果の報告を受け、公表する、としている。(編集担当:森高龍二)