国民1人あたり250円換算で税金を原資としている「政党助成金」。受け取りを表明した政党に支払われているが、国民はもっと関心をもつべきだ。受け取っていないのは支持していない政党にも支払われることから「思想信条の自由を侵す制度」として廃止を求めている日本共産党のみだが、そもそも制度が生まれた原点に立ち戻り、在りようを再考する時期にきているのではないか。
政党助成金はそもそもリクルート事件などに代表される「企業と政治の癒着の温床となる企業、団体による政治献金」を廃止する代わりの措置として生まれた。しかし、制度創設から毎年300億円を超える税金が使われていながら、企業団体献金は未だに健在だ。
1995年から始まって以来、政党の税金依存体質が年々強まっていることの弊害も懸念されている。
さらに問題なのは政党助成法で『政党助成金(交付金)』はその年に使い切れなかった分を国庫に返納するのが原則になっているのに『基金』として積み立てれば翌年以降に繰り越すことが可能という「抜け道」をつくっていることだ。これを利用し蓄財する弊害が生まれている。
日本共産党が機関紙赤旗9月25日付けで「総理や閣僚が支部長を務める政党支部の17年分の政党助成金使途報告書」を調べた結果、基金に計上して総理らがため込んだ額を報じた。
それによると、安倍総理は2403万円、麻生副総理は1967万円、福井沖縄・北方担当大臣1697万円、小此木国家公安委員長547万円、梶山地方創生担当大臣480万円、菅官房長官も422万円を基金に回し、国庫に返納していなかった、としている。
基金の名で計上することで繰り越しを可能にしているのはいかがなものか。制度の在り方を今一度精査する必要があるのではないか。
創設当初は関心を呼んでいた政党助成金だが、マスコミもあまり報じることがなくなった。しかし、原資が『税金』であること、そもそも、企業団体と政治の癒着の土壌を解消するために生まれた制度であることから考えれば、この制度を今後も継続していくのであれば、本来の創設目的だった企業団体献金の完全禁止こそ実現させなければならない。政党助成金創設の原点に立ち返り、制度再考を求めていくべき時期に来ているのではないか。各政党に、その視点から国民との約束を履行するよう取り組みを求めたい。(編集担当:森高龍二)