ローム、「CEATEC 2018」で小型高精度の地震感知センサーを展示

2018年10月21日 12:41

Rohm Nano Pulse 1

ロームがCEATECで披露した地震検知センサーモジュールのデモ。人為的な揺れなのか、地震なのかを的確に判断する

電子部品メーカーのロームが高精度な地震検知が可能な地震検知センサーモジュールを使ったデモ機を10月16日から千葉・幕張メッセで開幕したCEATEC 2018で展示した。

 近年、大規模地震による電気火災などの2次災害を防ぐため、地震発生時に正確に揺れを検知し、各種工場や住宅などの各種機器や装置などを安全に停止させる機能に注目が集まっている。

 今回、展示したデモは、一般的な清涼飲料水などの自動販売機に地震検知センサーを搭載した例を見せた。飲料水などの自動販売機の一部では、大きな地震などの際に飲料を無料配布するようになっているが、自販機単独で地震と判断していない。多くの場合、物流センターからの指令で切り替えるのが一般的だという。

 今回のデモでは、地震検知センサーモジュールを自動販売機に搭載した例を紹介した。センサーそのものは、約10mm角と業界最小であり、なおかつ高精度なモジュールとなっている。地震の揺れを表わす震度と高い相関性があるSI値を用い、独自の演算アルゴリズムを組み込んだことで高精度な地震検知が可能になっている。

 自然災害である地震と、人為的な振動、大型車両の通行振動などを区別する誤検知防止機能を持ち、地震発生を的確に判断する。ロームによれば、これまでに起こった205例の地震波で実験した結果、200例を正確に判断したという。

 自動販売機だけでなく、ブレーカーやコンセントなどのほか、家電、給湯器、エレベーターなどに搭載することで、地震発生時に正確に揺れを検知し、各種機器を安全に停止させることもできる。

 2015年にブレーカーに関するガイドラインが策定され、住宅密集地の住宅用分電盤に地震監視機能の設置が勧告されるなど、漏電監視だけではなく地震監視の需要が高まりつつある。しかし、新機能を搭載する場合のスペース確保や設計負荷に対する課題があった。

 今回、小型高精度の地震検知センサーモジュールが登場したことで、普及が進むことも期待できる。(編集担当:吉田恒)