低迷する家計貯蓄率 ゆとりの少なさ反映

2018年10月21日 14:38

画・低迷する家計貯蓄率 ゆとりの少なさ反映

世界的に見ても日本の家計貯蓄率の低迷は深刻だ。国民がよりゆとりのある生活をするためには、どこにお金を使うべきなのかをしっかり精査することが必要なのかもしれない。

 将来の生活や老後のために貯蓄に励んでいる人は少なくない。日本人は元来貯金好きと言われているため、世界的に見ても貯蓄率が高いと思うかもしれないがそうではない。経済協力開発機構が発表している世界各国の貯蓄率の比較では、世界の41ヶ国の比較で日本は34位程度になっている。

 貯蓄率にはいくつかの種類があるが、内閣府の国民経済計算においては家計貯蓄率が用いられることが多い。簡潔に言えば家計貯蓄率とは家計の可処分所得に対する預貯金増額分の割合のことだ。例えば可処分所得が500万円で、預貯金が合計10万円増加したとすれば家計貯蓄率は2%となる。家計貯蓄率は、いわば家計にどのくらいのゆとりがあるのかを示すものとなる。日本はこの家計貯蓄率が低迷しており、可処分所得に対してそれほど余裕のない生活を送っていることがわかる。実際内閣府の調査によれば、ここ10年でもっとも家計貯蓄率が高かったのは2009年度の4.38%だ。一方でもっとも低かったのは13年度でマイナス1.01%となっている。その後やや持ち直して16年度には2%台を回復したものの、家計貯蓄率が低い水準で推移していることは間違いない。

 世界的に見ても日本の家計貯蓄率の低迷は深刻だ。特に北欧やヨーロッパ諸国では家計貯蓄率は高い。ノルウェーでは20%前後、他の国々でも10%程の家計貯蓄率となっている。このように家計貯蓄率がある程度確保できると、多少の給料カットがあっても貯金を切り崩す必要が無くなる。よりゆとりのある生活が送れるということになるだろう。

 ではなぜ日本の家計貯蓄率は低いのか。大きな要因の一つが教育やレジャーに使う費用だ。日本では子供に習い事をさせたり、塾に行かせたりするのが当たり前になっている。加えて家計貯蓄率には無職の世帯や高齢者世帯も含まれているということも家計貯蓄率が低迷している理由の一つだ。高齢者が年金だけでは生活できない場合、貯金を切り崩しながら生計を立てる。結果として家計貯蓄率は下がっていくのだ。国民がよりゆとりのある生活をするためには、どこにお金を使うべきなのかをしっかり精査することが必要なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)