消費税引き上げ 国民の理解得られるか

2018年10月24日 06:56

画・消費税引き上げ 国民の理解得られるか

2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられる公算が高い。還元措置などの対策も検討されているが、低所得者の負担軽減に繋がるのか疑問視される点も多い。

 2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられる。消費税が8%に改正されたのは14年4月のこと。それまでは長らく5%であったが、社会保障費を賄うためとして17年ぶりに引き上げられた。安倍首相はその時からすでに最終的な消費税率を10%にすると表明していたが、経済の落ち込みなどを理由にして改正時期は二度の延期がなされてきた過去がある。

 消費税が上がれば少なからず国民からの反感を買うことになる。3%から5%に引き上げられた時にも5%から8%に引き上げられた時にも反対を訴える国民の声は確かにあった。消費を行う側の感情としては面白くないのが当然だろう。しかしその一方で消費税の引き上げは仕方のない事だとしてある程度受け入れている声も多い。少子高齢化により日本の財政はますます厳しくなり、増加していく社会保障費に対して税収は不足していく一方である。安定した社会保障を実現させるためにはやむを得ないものと判断し、消費の度に負担が増えるという現実も受け入れなければならない状況に直面している。

 とは言え税率を上げた事によって消費があまりに落ち込んでしまったとすれば本末転倒な事態となる。数値上では景気が徐々に回復していることを示しているものの、それによる金銭的な恩恵を受けられていると実感できている国民は多くない。消費の意欲は依然として高まらず、明らかなデフレ脱却を今すぐ見込める可能性は低いだろう。

 そこで消費税の引き上げに伴い実施されるのが軽減税率の適用である。一部を除いた飲食料品については8%のまま据え置くとされている。さらには中小事業者による小売店等を対象とし、キャッシュレス決済をした場合に2%の還元を行うことも検討内容に入っている。仮にこれが実現されれば、対象となる小売店の飲食料品をカードで支払ったときの消費税は実質6%という事になる。

 これらは消費の冷え込みを抑制するために出されたはずの案であるが、所得が低い人ほど恩恵を受けにくいと指摘する声も挙がっている。社会保障を賄うための消費税となるべきが、高所得者ほど得をするような状態となっては国民の理解を得る事はとてもできない。バラマキにしかならない制度の検討も一部でなされているが、国民にとって有益となる消費税率の引き上げでなければ政策の評価は得られないだろう。(編集担当:久保田雄城)