改憲急ぐ総理、国民感覚との間に相当なズレ

2018年10月25日 07:59

 安倍晋三総理は24日召集した197回国会で所信表明演説し、憲法改正への強い意欲を示した。

 安倍総理は憲法改正について「国の理想を語るものは憲法」とし「憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく」と所信表明演説で、総理としての憲法擁護義務違反にあたるのではないかと疑われる発言を行った。憲法の認識の違いも浮き彫りにした。

 安倍総理は「政党が具体的な改正案を示すことで、与党、野党といった政治的立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られると確信している」と改憲議論が進むよう、前のめりとも受け取れる発言をこれまでも繰り返している。

 所信表明では国民投票を意識して「そのあるべき姿を最終的に決めるのは国民の皆様」と述べ「憲法制定から70年以上を経た今、国民の皆様と共に議論を深め、私たち国会議員の責任を、共に果たしていこうではありませんか」と改憲議論が国会議員の責任だとも呼びかけた。行政府の長が立法府に改憲を呼び掛けた格好になった。

 ここまで議論を急がせる総理の発言や姿勢は改憲の緊急性を感じていない国民感覚との間に相当なズレがあることを浮き彫りにした。(編集担当:森高龍二)