日本の植民地時代に強制徴用された元徴用工の韓国人被害者4人が新日本製鉄(現在の新日鉄住金)に損害賠償を求めていた裁判で、韓国の最高裁判所(大法院)は30日、原告1人あたりに約1000万円を支払うよう命じる判決を下した。
最高裁は1965年の日韓請求権協定により強制徴用被害者の個人請求権問題が消滅したとみることはできないと判断。
聯合ニュースは「日本企業に賠償を命じる判決が確定したことで、韓日間の外交摩擦は避けられない見通し」と伝えるとともに「日本政府は自国企業に賠償を命じる判決が出れば、国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)への提訴などの強硬対応に出るとみられる」との見方を示し「日本企業の韓国でのビジネスにも悪影響を与えかねず、対韓投資などが冷え込む可能性がある」と懸念する旨を伝えている。
一方、安倍晋三総理は「1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決しています。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断であります。日本政府としては毅然(きぜん)と対応していく」とこの案件には強い姿勢で対処する考えを見せた。
河野太郎外務大臣も「判決は日韓請求権協定に明らかに反し、日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓友好協力関係の法的基盤を根本から覆すもので、極めて遺憾。適切な措置が講じられない場合、日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に毅然とした対応を講ずる」との談話を発表。省内に日韓請求権関連問題対策室も設置した。
新日鉄住金は「当社は本訴訟の4名の原告のうち2名から、1997年12月に我が国において同様の訴訟を提起された。2003年10月に最高裁判所で当社勝訴が確定している。今般の大法院判決は日本の確定判決に反する。今後、判決内容を精査し、日本政府の対応状況等もふまえ適切に対応していく」とのコメントを発表した。(編集担当:森高龍二)