アトランダムでも最低賃金以下が7割 失踪実習生

2018年11月21日 15:06

 外国人労働者受け入れ拡大のための出入国管理法改正案の実質審議が21日から始まる。20日の衆院法務委員会理事懇談会で決まった。22日に参考人質疑することが委員長の職権で決められた。

 立憲、国民、無所属、共産の野党4党の衆院法務委員会の理事は失踪した技能実習生から法務省が2017年に聞き取った2870人の個別調査結果(聴取票の個票)公表を求めているが、与党側は「検討する」としたまま応じておらず、実質審議に入る場合、その実態把握ができないままの審議入りになる。

 19日に聴取票の個票が衆院法務委員会の理事のみに公表されたが、撮影、コピーは禁止。立憲民主党は「書き写した20人のうち17人が最低賃金割れを示す書類だったが、失踪動機を尋ねる選択肢で『最低賃金以下』にチェックしてあるのはゼロだった」とし「入国管理局は受け入れ側の不正を把握しながらそれを見逃していた実態が明らかになっている」と重大問題としている。

 立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は「偽のデータで、空っぽの法案を作り上げ、国会の審議すら空っぽの状態で法案成立ありき、お尻(質疑終局の日程)ありきで突き進んでくる」と強く非難し、「立法府は瀕死」と語った。

 国民民主党の階猛衆院議員は「われわれが手書きで調べたものを集計したところ『最低賃金以下』の方が7割を超えた。アトランダムに抽出してこうした数字なので、今の制度を土台に新しい制度を作ることはありえないということがあらためて明らか」と断じた。(編集担当:森高龍二)