一般財団法人日本科学技術連盟が2年に1回実施している「第10回企業の品質経営度調査」の結果が11月28日に発表された。同調査は日本科学技術連盟が用意した調査票の設問に回答する形で行われ、その回答をもとに、大きく「仕組み作り」と「実践活動」の2つの経営側面に分けたのち、48の評価項目に細分化して企業の品質経営度を判定し、最終的にランキング形式での発表を行っている。
今回の調査は2018年7月~8月に連盟の賛助会員企業をはじめ、製造業・建設業およびソフトウェア企業など705社を対象に実施された。回答した193社の中で栄えあるトップに輝いたのは前回2位のコニカミノルタだ。同社は「部門間連携力」項目で2位以下を突き放す高評価を得、4年ぶりに首位返り咲きとなった。大きな評価ポイントとなったのは、組織を横断した取り組みを深化させていることや、IoTを活用した人や場所などに依存しない生産体制確立への活動だった。同社では、このIoTの思想に基づくものづくり改革を自社工場だけでなく、主要協業企業への水平展開にも着手しているという。
前回調査で初の1位を獲得した歯科医療総合メーカーのジーシーは、これまでの経常利益や売り上げ最優先の考え方を見直し、品質管理推進の担当者を認定する制度を取り入れるなど、全社を挙げた品質への取り組みが評価され「品質経営の拡がり」項目で1位となるものの、総合では僅差の2位となった。
今回の調査では、前回調査とはトップ10の顔ぶれがガラリと変わり、とくに5位以下では総入れ替えとなった。今回目立ったのは、食品関連企業だ。アサヒグループHD、キリンHD、味の素の食品関連企業3社が軒並みトップ10入りを果たした。
そんな中、製造業で躍進したのが5位にランクインした電子部品企業のロームだ。同社が評価されたポイントは、過去の不具合やトラブルの情報、ノウハウなどを集中管理して品質向上と不具合の防止に活用するシステムの構築である。中国や韓国、台湾などが台頭する電子部品市場において、日本が勝負すべきは価格ではなく品質だ。信頼性の高い製品は、それだけで値段に勝る価値がある。今回のロームの品質管理、品質向上への取り組みは、その意欲の表れともいえるのではないだろうか。
もちろん電子関連企業だけでなく、建築業や食品企業など、その他のどんな業種においても品質は何よりも大事だ。ランクインした企業の取り組み内容を見ていると、製品の価値向上に挑む企業の真摯な姿勢と価値観が見えてくるようだ。(編集担当:藤原伊織)