FAロボット(自動化ロボット)の需給がひっ迫している。日本での労働力不足や中国やベトナムなどのEMS(電子受託製造)拠点のアジア諸国で工場自動化のための機器への需要が増大し生産が追いついていない状況のようである。
マーケティング業の富士経済が、グローバルなFAロボットの急激な需要増加を受けて需給ひっ迫の状況となっているFAロボットの世界市場を調査、「ロボット用減速機の市場実態と市場活性化策についての考察」としてとりまとめ公表した。リポートではFAロボット用減速機の市場を分析するとともに、市場における主要企業のポジショニング、減速機の採用状況、キーテクノロジーなどを整理し、今後の安定供給のための方策を考察している。
リポートによれば、FAロボットのうちロボットを構成する重要な部品である波動歯車式減速機を中心に減速機の需給がひっ迫しており、大規模ユーザーのロボット導入が遅延するケースも出てきているようだ。
省力化、品質の安定や工場の自動化ニーズの拡大にともないFAロボットの需要は増加しており、特にFAロボット用減速機の市場が拡大傾向で、2017年には前年比で29.9%増の870億円となっている。18年に入ってからも中国を中心に需要は拡大傾向で、供給に遅延がみられるものの市場規模は前年比17.2%増の1020億円が見込まれている。
リポートでは、今後もFAロボットの需要は拡大傾向と見ており、これに伴い減速機の市場規模も中国をはじめとするアジア諸国や労働力不足の日本を中心に増大し25年には17年の2.2倍にあたる1900億円の市場規模に達すると予測している。
現況では中国やベトナムなどEMS拠点が中心で、小型タイプをはじめとしたFAロボットの需要が急増し、これに伴い減速機の需給がひっ迫状態だ。EMS生産では大ロット・短納期でロボット導入が行われるケースが少なくなく、このため減速機の生産が間に合わずロボットの導入が遅延するケースも出てきている状況だ。
現在のところ市場は日本メーカーが中心であるが、中国、インドなどの新規メーカーも参入してきている。現在の数社レベルの寡占状態から新規メーカーの参入による市場活性化に伴い、競争原理が働き、徐々に納期問題の解消が期待される。既に日本の主要メーカーと新規参入メーカーの間で競合が激化し、価格競争が進んでいる現況のようだ。(編集担当:久保田雄城)