ソフトブレーン・フィールドが「配偶者控除150万円」に関し実態調査。制度の認知度は61%。「年収103万円以内で調整」が51%で最多。「150万円以内」は1.7%のみ。社保制度の改革無ければ効果無し。
昨年1月から配偶者控除の年収要件が103万円から150万円まで拡大された。103万円のカベは以前より問題にされてきたことで、パートタイマーの主婦などがもっと長く働きたいにもかかわらず配偶者控除の適用のために年収が103万円以内になるよう就労時間の短縮を希望してしまうケースが多かった。
生産年齢人口が減少する中、女性の労働力をさらに活用したいと考えている政府は2017年の税制改革で年収要件を103万円から150万円に拡大し、18年1月からこれを適用している。 この改正については当初より疑問の声が上がっていた。年収が130万円、大企業では106万円を超えると社会保険料を自分で払う必要ができてしまい配偶者控除のみを変えても効果が無いのではないかという指摘だ。
24日にソフトブレーン・フィールドが公表した「働き方に関する意識調査」の中で年収要件の改正によって働く主婦の働き方がどのように変化したかを調査している。年収200万円以下の主婦に働き方について質問した結果、「年収103万円以内に収まるようにしている」と回答した者が50.8%と半数を超え最も多く、年収要件の変更後も、103万円を意識して働くことを変更していない主婦が多数派で、「年収150万円以内に収まるようにしている」と答えた者はわずか1.7%に過ぎなかった。この数字からみると、配偶者控除の年収要件の変更は働く主婦の就労時間を増やす方向では効果は無かったと言ってもよいだろう。
そもそも働く主婦達は18年1月の年収要件の変更を知っていたのだろうか。このことについて質問した結果では60.7%の者が「知っていた」と答えており認知度が低かったというわけでもなさそうだ。また、「配偶者控除の改定後に働き方を変えたか」という質問に対しては、95.3%の者が「変えなかった」と回答しており、この改定は働く主婦の働き方にほぼ影響を与えていないと考えられる。
変えなかった理由について質問した結果では、「スケジュールの融通がきくから」が57.4%で飛びぬけて多くなっており、事前に指摘された社会保険料を理由とあげている者はいない。しかし、「家庭に支障がなければフルタイムで働きたいか」に対しては64.4%が「働きたい」と答えており、就労のカベになっているものは税金や保険料など公的負担の問題だけではなく他にも様々な問題があるようだ。さらに総合的な環境整備が必要なようである。(編集担当:久保田雄城)