東京圏には日本の総人口の3割が集中している。昨年の人口動態調査の結果では日本の総人口が減少する中、唯一東京圏の人口は増加しており昨年1月1日現在で総人口の28.3%に達している。安倍政権は東京一極集中を是正し地方の人口減少に歯止めをかけるための政策として地方創生を掲げているが、この中で地方における若者の雇用数の増大が主要な目標として掲げられている。
これに関する意識調査として、日本財団が17~19歳の都市部育ち299人、地方育ち501人、合計800人を対象に「地方創生」をテーマに「18歳意識調査」を1月に実施、その結果を公表している。
「東京一極集中に問題があると思うか」という質問に対しては約半数に当たる47.4%が「問題がある」と回答、「問題がない」16.4%を大きく上回った。その理由としては「地方が衰退する」が69.7%と約7割を占め最も多かった。「地方創生はうまくいっているか」という質問に対しては「うまくいっていない」が37.9%で最も多く、「うまくいっている」は4.8%に過ぎなかった。「うまくいっていない」理由としては「東京の人口が増え続けている」、「就職、進学、便利さなどで東京や東京の近辺を中心に考えている人が多くいる」、「地方の過疎化が改善しているように思えない」などとなっている。
「将来、どこで暮らしたいか」という質問に対しては、「都市」が61.3%で「地方が」38.8%と6割超えが都市と回答している。地方育ちで「都市」で暮らしたいと答えた者の割合は29.5%で、回答者全体に占める地方育ちの割合は62.6%であるので、地方育ちの約半数が都市での暮らしを希望していることになる。都市で暮らしたい理由は、「生活しやすい」が53.9%で最も多く、次いで「娯楽が多い」が42.0%、「多様なチャンスがある」26.9%、「就労の選択肢が多い」25.7%などと続く。
「どのような対策が必要か」という質問に対しては、「地方への公共投資を増やす」が30.3%、「企業の本社機能を地方移転する」が27.0%、「首都の行政機能を分散する」25.3%、「自然環境、治安の良さなど地方の利点を強化する」22.9%などとなっているが、「特に考えはない」の36.4%が最も多くなっている。
この調査を見る限り地方の若者は地方の再生について冷めた目で見ている者が多いようだ。(編集担当:久保田雄城)