在日米軍が空母に艦載している戦闘機の離発着訓練場として鹿児島県の「馬毛(まげ)島」を利用するため、政府は地元自治体や住民らの同意もないまま、島の約99%を所有する都内の企業と水面下で購入に向け交渉に入っていることが18日の参院予算委員会で分かった。日本共産党の仁比聡平議員が指摘し、質した。
しかも、防衛省は当初(以前の交渉で)買収価格を45億円と提示し交渉していた。それがなぜか、今160億円での交渉という。仁比議員はなぜ急に上がったのか、と疑問を呈した。
また仁比議員は馬毛島が米軍基地になった場合、佐世保など九州の港が空母の準母港にされるのではないかとの専門家の見方も紹介した。
加えて、仁比議員は「この業者の資金繰りが極めて不透明で、破産を申し立てられたり、土地登記簿を見ると極度額140億円の抵当権が設定されている」などと紹介。「いかにも、いわくつきだ」と提起した。
そのうえで地元住民や地元自治体の同意もない中で交渉をするのか、抵当権付きのまま購入するようなことがあるのかと質した。
これに答え、岩屋毅防衛大臣は「馬毛島を候補地に検討を進めている」とし「地元の理解、協力が大事ということは認識しており、引き続き丁寧に説明していきたい」と述べ、地元自治体や住民の同意が得られない中で、日米の都合で交渉を進めていることを浮き彫りにした。また、交渉価格についても「交渉中なので控えさせていただきたい」などと濁した。
岩屋大臣は「土地の取得に対しては状況なども踏まえ関係法令などに基づき、適切に対応していきたい。防衛省においては土地取得の際、所有者との契約において、その土地の上に所有権以外の権利が設定されているときは、あらかじめこれらを消滅させたうえで引き渡しを受けることとされており、これまでもそうしてきた」と土地所有者が抵当権を解消したうえでなければ引き渡しをうけることはない旨を答弁した。
仁比議員は「交渉は直ちに中止し、一切の交渉経緯を明らかにすべきだ」と求めた。安倍晋三総理は「わが国を含むアジア太平洋地域の平和と安定のためには米軍による抑止力が必要不可欠で、中核になるのが米空母。運用を確保するには(空母に艦載している戦闘機の)離発着訓練が不可欠になっている」などとし、馬毛島を米軍訓練基地にする考えを改めて示した。(編集担当:森高龍二)