今年2019年の景気動向は不透明だ。従来から19年に日本の景気は後退局面に入るのではないかという指摘も少なくなかった。しかし、その多くは具体的な材料があるわけではなく、オリンピックの前の年は関連需要が一巡し景気が失速しやすいという経験則から来ているものが多い。
たしかに19年に入って景気失速を暗示するような数字も一部に見られる。しかし一方でピークアウトすると言われてきた設備投資は引き続き順調で、特にIT投資分野でWindows10への以降などを背景に堅調な推移が維持されている。
最も大きな懸念材料と言えば10月の消費税増税だ。これは個人消費に対して大きくマイナスの影響を与えると容易に想像できる。よって、影響を受けるのは主に中小の小売業やサービス業であろう。これまでもそうであったように19年に入ってからも景気関連指標の動向は業種や分野、規模によってバラツキが見られまだら模様だ。
内閣府、財務省が先月実施した法人企業景気予測調査の結果を12日に発表しているが、これを見ても19年の景気見通しについて業種や規模でバラツキがみられる。
今年1-3月期における自社の現況判断をBSI(「上昇」-「下降」社数構成比)でみると、大・中堅・中小企業の全ての規模において「下降」という結果となっている。規模別・業種別では唯一大企業の非製造業のみが1.0のプラスで、他は全てマイナス、「下降」幅が最も大きいのは中小企業の製造業のマイナス22.9だ。
4-6月の見通しでも全ての規模・業種で「下降」となっている。規模による違いが生じるのは7-9月の見通しで、大企業と中堅企業では5.3~5.7程度のプラスに転じているのに対し、中小企業では2.1~4.6程度のマイナスと現況よりは改善されるものの引き続き「下降」となっている。国内景況判断についても同様で大・中堅企業では7-9月期より「上昇」へ反転しているが中小企業の見通しは「下降」のままだ。
売上の見通しでは製造業が上期、下期ともに増収であるのに対して非製造業では上期、下期ともに減収となっている。
19年度の設備投資の見通しを見ると全産業で上期が4.9の増加であるのに対し下期が15.0の大幅な減少となっている。製造業では上期に14.1の増加であったものが下期に7.2マイナスに転じ、非製造業では上期1.0マイナスが下期に19.8の大幅なマイナスとなっている。消費税増税による消費の失速とともに設備投資の失速も懸念材料となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)