国保料、自治体8割でモデル世帯約5万円値上げ

2019年03月17日 10:31

 高すぎる国民健康保険料(税)のために支払えず滞納している世帯が約289万世帯と加入世帯の15%を超える中、2019年度以降、全国自治体の8割で、さらに大幅値上げになる可能性のあることが14日、指摘された。

 日本共産党の志位和夫委員長が党独自の試算結果を同日の記者会見で発表。それによると、19年度の「標準保険料率」を発表している38都道府県1429市町村がこの税率通りに実施した場合、モデル世帯(30歳代の夫婦と子ども2人の4人世帯、給与年収400万円、自営業では30代夫婦と子ども1人の3人世帯、年収300万円)の試算で、1144市区町村(自営業では1102市区町村)が値上げになり、負担増は平均4万9000円(同)になることが明らかになった、という。

 標準保険料率は市区町村が保険料を算定する「参考値」だが、安倍政権はこれに合わせるよう求めている。ただ、志位委員長は「この標準保険料率は高齢化による給付費増加などによって毎年のように引き上がる仕組みになっている」と指摘。今後さらに引き上げられる可能性があると提起し、構造的な問題解決と負担軽減を図る必要から、公費1兆円の投入の必要を訴えた。

 志位委員長は公費1兆円の投入で、負担の抜本的引き下げに道を開くことを訴え、選挙戦を戦うとの考えを示した。高額すぎる国保料引き下げに1兆円の公費投入を求める要請は全国知事会もこれまでに行い、昨年11月も国庫負担割合の引き上げ要請を行ってきたが、安倍政権はこれに答えていない。

 志位委員長は「市区町村の判断によって、国や都道府県の圧力をはねのけ、一般会計繰入による国保料(税)の負担抑制、自治体独自の保険料減免を維持・拡充することは可能」とも述べ「安倍政権の国保料連続・大幅値上げに協力・加担してはならない」とも呼びかけた。

 日本共産党は政策として「国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げる」とし「事実上の“人頭税”である均等割、平等割(世帯割)をなくすことも提案。国保財政への公費負担は、国と都道府県で4.6兆円(国75%、都道府県25%)であり、これを1兆円増やせば、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げることができる」としている。

 財源について、志位委員長は「安倍政権のもとで純利益を19兆円から45兆円へと2.3倍に増やしながら、4兆円も減税された大企業や株高で資産を大きく増やした富裕層に応分の負担をしてもらう。富裕層優遇になっている株式配当や譲渡所得への課税を欧米並みにするだけで1.2兆円の財源となる」と指摘した。(編集担当:森高龍二)