元号変更の影響、小売・サービスではプラス、金融でマイナス

2019年04月01日 07:09

画・元号変更の影響、小売・サービスではプラス、金融でマイナス。

帝国データバンクが改元に関する企業の見解についての調査結果を発表。企業活動への影響について、「プラスの影響」が5.3%、「マイナスの影響」が12.8%。小売・サービスでプラス。金融ではマイナス。

 今年5月1日に元号が変更される。今回の改元は明治以降では初めての譲位による皇位継承の中で行われる。このため様々な事前準備が可能となり、新元号についても4月1日にあらかじめ発表される予定だ。このため事前準備が出来なかった昭和から平成への改元の歳とは異なる影響が表れる可能性が指摘されている。

 帝国データバンクが先月、全国2万3031社の企業を対象に改元に関する企業の見解についての調査を実施、その結果を19日に公表している。改元による企業活動への影響について尋ねた結果、「プラスの影響がある」と答えた企業の割合は5.3%、「マイナスの影響がある」が12.8%、「プラス・マイナス両面の影響で差し引きゼロ」が25.5%、「影響はない」が38.9%、「分からない」が17.5%となり、「影響はない」が4割近くで最も多くなった。

 産業別に見ると「プラスの影響がある」と答えた企業が最も多いのは「サービス業」の10.4%で、次いで「小売業」の8.6%となっている。「マイナスの影響がある」と答えた企業が最も多い産業は「金融」の27.3%で、次いで「運輸・倉庫業」の20.5%となっている。さらに細かく業種別にみると、「プラスの影響」と答えた業種は「旅館・ホテル」が30.4%で最も多く、次いで「出版・印刷」の27.8%、「紙類・文具・書籍卸売」の20.2%となっている。一方「マイナスの影響」は「金融」と「電気通信」が27.3%、「飲食店」24.3%などとなっている。

 「プラス」と答えた理由は、「人々の気持ちの高揚」が13.5%で最も高く、次いで「個人消費の拡大」8.7%、「改元特需の発生」7.9%などとなっている。「マイナス」の理由では「営業日数の減少」が24.5%で最多、次いで「諸経費の増加」が14.6%、「人手不足の深刻化」12.2%などとなった。

 自由記述欄をみると、「プラス」では「大型連休になるので、国内観光客の増加・個人消費の増加による売上増を期待」(肉製品製造、山形県)、「改元を祝した宿泊プラン効果が期待できる」(旅館・ホテル、栃木県)、「マイナス」では「休日の増加による稼働率の減少が売上に影響」(電線・ケーブル製造、山梨県)、「事務関係書類の作り変え費用」(給排水・衛生設備工事、愛知県)などとなっている。

 業種により多少の偏りはあるものの、特需への期待、稼働率低下、諸費用の増加などプラスとマイナス双方の影響が予想され、それらが打ち消しあって全体としては大きく偏った影響はないと見込んでいる企業が多いようだ。(編集担当:久保田雄城)