モノづくりの祭典「TECHNO-FRONTIER 2019」世界トップレベルの技術が一堂に

2019年04月21日 11:18

テクノフロンティア

メカトロニクス・エレクトロニクス分野の専門展示会「TECHNO-FRONTIER 2019」が4月17日(水)~19日(金)に幕張メッセで開催された。

 4月18日、東京2020オリンピックのチケット販売サイトがオープンした。公式チケットの抽選販売も5月以降に開始される予定で、いよいよ56年ぶり2回目の夏季オリンピックムードが高まってきた。各種目のトップアスリート達が世界一を目指して躍動する姿は、画面の向こうで見ても興奮するのに、自国での開催となれば尚更だ。世界トップレベルの競技はきっと、我々を熱狂させてくれるだろう。

 でも、我々を熱くしてくれる「世界トップレベル」は何もオリンピックだけではない。4月17日(水)~19日(金)に幕張メッセで開催された、企業や団体が最先端の技術力を展示する「TECHNO-FRONTIER 2019」も、いわばモノづくりの祭典だ。

 今年37回目を迎えた「TECHNO-FRONTIER」は、日本能率協会(JMA)が日本のものづくりの核となる先端・固有技術の開発促進と市場創出の支援を目的に開催しているメカトロニクス・エレクトロニクス分野の専門展示会。「モーター技術展」を始め、「電源」「EMC・ノイズ対策」「モーション・エンジニアリング」など、多彩な技術分野の最先端が一堂に集う。もちろん、あくまでも展示会なので、オリンピックのように競い合うものではないが、各企業や団体の威信をかけた「世界レベル」の技術が展示されるので、その分野での覇権争いに影響を与えることも少なくない。

 例えば、STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは、ニーズが高まるドローンや充電式掃除機などに最適な3.3V駆動の32ビットマイコンと耐圧250V/600Vのゲートドライバを1パッケージに集積した高耐圧モータドライバ「STSPIN32F025x/60x」を世界で初めて披露した。同製品は、10mm×10mmの64ピン TQFPパッケージを採用、MOSFETだけでソリューション構築が可能になるため、従来比で50~70%の基板面積削減が可能になるという。

 また、東芝グループ内の東芝産業機器システムが展示した「磁石レス同期リラクタンスモータ」も興味深い。同期リラクタンスモータは、高効率な正弦波電流で駆動可能なモータだが、東芝産業機器システムは、ロータを鉄心とフラックスバリアのみで構成し、電機子(固定子)はコイルを用いた電磁石とすることで、永久磁石やアルミ導体を用いないで高効率化を実現。レアアース不要なので、生産と供給が安定する上、磁石不使用によるメンテナンス性の向上、更にはモータそのものの長寿命化にも貢献するという。

 電子部品大手のロームも負けてはいない。同社は国内の電子部品企業の中でもとくに SiC(シリコンカーバイド)半導体の開発に力を入れており、世界でも高いシェアを誇っていることで知られている。今回の「TECHNO-FRONTIER」でも来場者の注目を集めていたのが、大電力を扱う産業機器の補機電源に向けた1700V耐圧SiC MOSFET内蔵AC/DCコンバータIC「BM2SCQ12xT-LBZ」だ。

 圧倒的な省エネ性能を誇るSiC MOSFETを世界で初めて内蔵した同ICを用いることで、省電力のAC/DCコンバータを極めて簡単に開発することができるという。従来のSi-MOSFET採用品と比較して最大5%の電力高効率化、電力損失に置き換えると28%もの削減を実現することができ、産業機器の劇的な小型化と高信頼化、省電力化に貢献する。

 他にも「TECHNO-FRONTIER 2019」には450以上の企業・団体が出展し、多くの来場者が最先端の技術を間近に感じて、熱気に包まれていた。オリンピックは4年に一度だが、こちらは毎年4月に開催されている。早くも来年の開催が楽しみだ。(編集担当:今井慎太郎)