クラウドファンディングとはベンチャー事業等を立ち上げる際に少額資金を不特定多数の人々から集めてリスクを分散する資金調達方法だが、日本においても2014年にベンチャーマネー支援政策の一つとして法整備がなされインターネット上を中心に一定の広がりをみせている。
18日、GfKジャパンが家電製品の2019年第1四半期における「クラウドファンディング市場の動向調査」の結果を公表している。このレポートでのクラウドファンディングとはインターネット上の「購入型」のうちリターンを家電製品とするプロジェクトのものである。
レポートによれば、今年1~3月までの第1四半期の家電製品クラウドファンディングにおける支援金額は前年同期の1.7倍まで増加した。対象プロジェクトの件数は未だ年間1000件以下と小規模なため大型プロジェクトの有無などにより月ベースの金額規模は大きく増減するものの、長期的傾向において国内クラウドファンディングはプロジェクト数、支援者数、支援金額の全てにおいて拡大傾向で推移している。
製品分野別に見ると、AV・カメラ関連が支援金額全体の中で4割弱の構成比を占め最大となっているが、小売レベルでは販売額の2割程度で支援金額と小売金額で格差が見られる。逆に、生活家電では支援金額の構成比は2割強だが、小売販売額では4割と最大のシェアとなっている。
この両者の構成比の差についてレポートでは、小売レベルにおいて生活家電は冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど高価格帯の大型生活家電が売上の多くを占めるのに対し、クラウドファンディングではプロジェクトの多くが小型生活家電で占められており、支援金額が一口当たり数千円など2万円以下と少額になっているものが多数であることが背景にあるとしている。
プロジェクトの傾向としては、翻訳機能を搭載したステレオヘッドホンや3インチ以下の超小型スマートフォンなど既存の家電製品に新機能・新要素を追加したもの、もう一つはスマートフォンのアプリで施錠管理できるスマートロックやタグをつけていれば落とし物をした場合に通知が届くスマートタグなど、これまで存在しなかったタイプの新機軸製品の2つが見られる。またヘルスケア機器、AIoT、スマート家電なども目立つ。
いまだ規模は小さいものの、レポートでは「今後も消費者の認知向上に伴いクラウドファンディングの金額規模は急速に拡大していくことが期待される」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)