財務省の法人企業統計を見ると、2019年1-3月期の経常利益は製造業で前年比が6.3%のマイナスとなったものの全産業では10.3%の増加で、全体としては未だ増収傾向が維持されているようだ。こうしたまだら模様の景況を背景に中小企業のこの夏のボーナスは横ばいかやや増加となりそうだ。
人材サービス業のエン・ジャパンが自社サイトを利用している従業員数300名未満の企業435社を対象に「夏季賞与」についてアンケート調査を6月初旬に実施し、17日にその集計結果を公表している。
この夏のボーナスの支給については81%の企業が「支給予定」と回答しており概ねの企業で夏期賞与の支給が行われそうだ。支給予定と回答した企業に昨年との比較を尋ねた結果では、「増額予定」は29%、「変わらない」が61%で最も多く、「減額予定」10%となっており、全体としては横ばいからやや増加となりそうだ。
これを昨年の調査結果と比べると「増額予定が」が昨年の35%から6ポイント減少し、「変わらない」は昨年と変わらず、「減額予定」が昨年の5%の倍となっており、増額企業が減り減額予定の企業が増え、景況の足踏み感も感じさせる。
業種別に「増額予定」の比率を見ると、「IT・情報処理・インターネット関連」が37%で最も多く、次いで「商社」の35%、「金融・コンサル関連」が33%などの順となっている。一方「減額予定」は「メーカー」が18%で最も多く、次いで「サービス関連」の14%、「流通・小売関連」の11%と続いている。法人企業統計では製造業が減益となっているが、やはり中小企業においてもメーカー系は今年に入ってからの減益傾向が影響しているのかも知れない。
増額する理由について聞いた結果では「業績の好調」が67%と最も多く、次いで「社員の意欲向上」が65%、「離職・退職の防止」22%と続き、業績好調の中、人手不足も深刻化しており、従業員の離職を予防する意味でもボーナスの増額を予定している企業も少なくないようだ。
逆に減額を予定している企業にその理由を聞いたところ、「業績不振」が73%と断トツで多く、次いで「経営体質強化に向けた人件費圧縮」が20%と続いている。業種や企業により収益力にも差が見られ、また経営環境の急速な変化の中で財務力を強化するためにボーナスを抑制している企業も少なくないようだ。この調査は中小企業のみを対象としたものであるが経済全体の様相を表している結果ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)