アキュラホーム主宰JAHB netから誕生する新たな組織の名は「SABM」

2019年07月21日 10:59

JAHB net_Miyazawa

9月に発足する「SABM」(Smart Alliance Builder Member)を語る、ジャーブネット主宰のアキュラホーム社長・宮沢俊哉氏

 JAHB net(ジャーブネット)は、アキュラホームが主宰する日本最大のホームビルダーネットワーク集団だ。発足したのは1994年。全国の地域工務店やビルダー最大600社が参加して作り上げた、まったく新しい形の工務店集団・住宅ブランドである。今年25周年を迎える。そのジャーブネット参加企業は、それぞれ地域に密着した、すべて独立自営の「家づくりの専門家」だ。

 ジャーブネットは、住宅合理化システム「アキュラシステム」を提供してきた2700社のなかの積極的な工房が参加した全国の地域工務店・ビルダーを結ぶネットワーク組織だ。2008年のリーマンショックを乗り越え、それぞれ独立自営のビルダーが主体性を持ちながら、先進の技術や最新の住宅関連情報を共有化。地域に根ざしたホームビルダーとしての活動してきた。2007年度の1社平均建築棟数14.6棟を2018年には年間引渡24.0棟にまで引き上げた。10年で160%以上の成長だ。

 現在、参画企業は全国192社の規模にあるが、質の向上を目指しながらスケールメリットも活かし、家づくりにおける効率化と品質向上を達成し、VC(ボランタリーチェーン)として会員地域工務店とともに成長した。ジャーブネットとして設立からの累計で14万1436棟の住宅を提供してきたという。これは、「ジャーブネットが大きく掲げ実施してきた“経営者の育成”が効いた」と、同社の執行役員である加藤博昭氏は述べた。

 しかしながら今後のハウスメーカーを巡る環境は容易ではない。野村総研のレポートによれば、新築住宅の着工件数は2018年の95万戸から、2030年には63万戸にまで減少すると見込んでいる。

 利用関係別に見ても、2030年には持ち家20万戸、分譲住宅16万戸、貸家(給与住宅を含む)27万戸となる見込みだ。貸家に関しては、相続税制改正による貸家の供給増加が定着すると仮定した場合、5万戸程度の供給増加が見込まれるが、持ち家については高齢化と人口減少で、増える見込みは無い。今後10年で、国内ハウスメーカーの大手を含めた合従連衡や淘汰が進むのは間違いなさそうなのだ。

 ジャーブネットはこうした状況を踏まえて新たな施策に乗り出す。アキュラホームとして工務店への新たな“アシスト制度”を始動させる。結果を導き出すためのジャーブネットの強化策である。そこで新たに掲げたミッションが「世界に誇れる住環境をつくる」である。

 結果を導き出す新たな組織の名は、「SABM」(Smart Alliance Builder Member)だ。この組織SABMは、VCであるジャーブネット192社のリーダーたるチームで、FC(フランチャイズチェーン)に近い組織のようだ。有望な企画や商品開発を行う工務店を支援する。

 会見で説明にあたったアキュラホーム社長の宮沢俊哉氏は、「単なるFCとは異なるが、情報の保守などのある程度の“縛り”がある組織だ」という。つまり、「FCの強みとVCの良さ、そしてコンサル機能が融合した組織」を標榜する。今年9月から運営を開始し当面、優良工務店支援のために初年度総額1億円を用意する。対象の組織は、「ジャーブネットを跳び越えて、大切にインキュベート(保育)すべき施策には投資する」可能性も大いにあると宮沢社長。ジャーブネットから飛翔する「SABM」となりそうだ。(編集担当:吉田恒)